女優の竹内結子さんが自殺したことが本日分かった。誰からもちやほやされるスターであるのに、なぜに死に急ぐ必要があったのだろうか▼自殺を論じるのであれば、やはり小林秀雄だろう。小林は『Xへの手紙』において「一度は退屈のために、一度は女のために、今から思えばたわいもない」と書いている。小林自身が自殺しようとしたことがあったからだ▼小林は「人は女のためにも金銭のためにも自殺することは出来ない。凡そ明瞭な苦痛のために自殺する事は出来ない。繰り返さざるを得ない名づけようもない無意味な努力の累積から来る単調に堪えられないので死ぬのだ」との見方をする。「死はいつも向こうから歩いて来る」のであり、いくら彼に会いに出掛けたとしても、「邂逅の場所は断じて明かされてはいないのだ」と明言する▼小林が「退屈」を自殺の要因に考えているのが注目される。カミュは「真に重大な哲学上の問題は一つしかない。自殺ということだ」(『シーシュポスの神話』清水徹訳)と述べているが、やはり小林と同じように、シーシュポスに象徴される果てしない徒労を問題視した。自殺を批判することは容易いが、今の時代の病理が露出しているように思えてならない。「退屈」は文明社会がもたらした病なのだから。
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