つれづれなるままに

日々の思いついたことやエッセイを綴る

真実の口

2008年05月18日 | 文化
                 真実の口(ボッカ・デラ・べリタ)

真実の口」伊:Bocca della Verità(ボッカ・デラ・ベリタ))は、ローマにある石の彫刻である。

ローマのサンタ・マリア・イン・コスメディン教会の外壁、教会の正面柱廊の奥に飾られている。
元々は下水溝のマンホールの蓋であったらしい。海神トリトーネの顔が刻まれている。

手を口に入れると、偽りの心がある者はその手首を切り落とされる、あるいは手が抜けなくなるという伝説がある。

映画『ローマの休日』では、グレゴリー・ペック扮するジョー(新聞記者)が真実の口に手を入れてこの伝説を再現してみせた。
新人のオードリー・ヘップバーンは、撮影に緊張していた。
監督とグレゴリー・ペックは、リラックスさせることを考えた。
真実の口に手を入れて、手首を背広の袖に隠して手首を切り落とされた状態を見せた。
ヘップバーンは、ビックリして驚いた。
その後、背広の袖から手を出して無事であることを表わしておどけてみた。
ビックリした後の笑い顔のヘップバーン。
このシーンがとても強く印象に残っている。
これは、グレゴリー・ペックの仕掛けたアドリブであり、とてもリアルなヘップバーンのリアクション映像となって残った。
自然の演技が表出された素晴らしいシーンである。
それ以来、オードリー・ヘップバーンは緊張が解けて、映画の撮影が順調に進んでいったというエピソードが残っている。

(5月18日記 池内和彦)
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