辻村深月『かがみの孤城』
最近読んだ、十二国記『白銀の墟(おか) 玄(くろ)の月』とか
少し前に読んだ、機龍警察シリーズ『狼眼殺手』とか。
好きな本、おもしろかった本、感動した本にはけっこう出会えている。
でも、鼻の奥がツンとして、思わず涙があふれてしまった本は久しぶり。
鏡をくぐり抜けたら、そこは異世界の城だった。
でも、クローゼットから入れるナルニア国とは違って、
城(というほど大きくはなく、せいぜいお屋敷くらい)の外へ出ることはできない。
1年後の3月30日までに、城の中に隠されている鍵を見つけて、
願いの部屋を開けた者は、ひとつだけ願いを叶えられる。
集められた不登校の7人の中学生たち。
恐ろしい敵がいるわけでもなく(敵はむしろ現実世界にいる)
ぬくぬくと安全・快適な鏡の中の城。
鍵が見つからないまま、城は7人には恰好の逃避場所となっていく。
だらだらと過ぎていく1年。
そして、3月。
怒濤の勢いで急展開する最終章。
たくさんの伏線。真相が明かされて、なるほどと納得。
願いが叶えられると、城での記憶は消える決まり。
彼らはその後どうなったか?
絆、そして未来への期待……
胸が温かさで満たされる読後。