本を読んでいる視線をふと上げたとき、目に飛び込んでくるこ新緑の眺めが好き。
デッキでコーヒータイムにするにも、今は最高の季節だ。
夏は暑すぎて、木陰に椅子を移動させても早朝以外はむずかしい。
ところで、この本。
最後の200ページほどを昨日の午後から一気に読んでしまった。
夜はテレビを見ることが多いが――
(最近は「クローンウォーズ」を毎日1話以上必ず見ている)
昨夜はずっとこの本にかかりきりだった。
さすがに学生時代のように寝ずに読むということはしないが、
家事や買い物をすませてから、この午前中で読み終わった。
渋谷のスクランブル交差点で空を指さして絶命した老人は何を指さしていたのか。
こんな奇妙な依頼を、興信所を営む鑓水と修司にしてきた人物は、シリーズ第1作でのラスボス。
鑓水と修司と相馬、この3人の関係を理解するには、「犯罪者」「幻夏」も読む必要がある。
前の2作も傑作だったが、この第3作はそれ以上だ。
ここに到達するために、それらを読む価値は十分あると思う。
前半の、何を調べているのかさえはっきりしない先の見えない状況。
やがて瀬戸内の曳舟島に渡ってある人物を捜索することになるが。
3人に対して、排他的な村人たちは何かにつけ妨害に出る。
このあたり、隔絶した島や僻地の村を舞台にした推理小説でよくあるなあと思いつつ。
しかし、その先の展開はまったく異なる。
島を出たあとの動きときたら!
ハラハラドキドキ、スピーディーな展開かつ痛快。
メディアやネットを最大限利用する現代の反撃法。
しかし、ネットにアップして万事解決としないところがさすが。
戦争中の出来事を詳しく描いているから、老人たちの行動がよく理解できる。
二度とああいう世の中にしてはいけないという彼らの思い。
それにしても今のロシア、ここに描かれている戦争中の日本の言論統制そのままじゃないか。
嘘の戦果を伝えるロシアのテレビにしても、大本営発表そのままだし。
しかし、緩やかな縛めが次第にきつくなっていくとしたら、気づいたときにはもう遅いかもしれない。
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