散日拾遺

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人生いろいろ、恐怖症いろいろ/はがき詩信91

2013-11-09 22:11:52 | 日記
2013年11月09日(土)

多摩SCで面接授業、第一日。
学生さんと顔を合わせるのは文句なく楽しい。
特に放送大学の学生はモチベーションがものすごく高いから、非常にやりやすい。

ただ、1コマ85分を一日に4コマ、それを二日続きとなると、楽しくてもやっぱりしんどいんだな。
特に僕は立ちっぱなしで、熱を込めて話しては質問に答えるという力戦型なので。

今回は『精神医学・応用編』初の試み、その気疲れもある。
原則として『基礎編』履修済みの受講生限定という条件を付けたところ、当然の結果として50名の受講生の半分ほどがリピーターということになった。
覚えのある名前、懐かしい顔を多数教室に見るのは、全国9万人の学生を擁する放送大学ではちょっと珍しい風景である。
しかも、相当の遠方混じりだ。

2限に「恐怖症」について講義する際、「むやみに怖いモノや状況」について受講生に訊いてみた。大概の人間は何かあるもので、僕ならさしづめ尖端恐怖がそれにあたるが、ちょっと驚いた。

「虫は何でも、全部苦手です。」
これは珍しくない。

「信楽焼のタヌキの置物がありますよね、あれ、ダメなんです。」
???
「口がこうとがって、歯がギザギザしてて・・・う~、ダメです。」
そうですか。

「コンビニのコピー機なんかの蓋が、半開きで揺れてたりするのが、無性に怖いです。」
・・・・・

本当に人はいろいろだ。
島倉千代子さん8日他界、満75歳。
『人生いろいろ』が大ヒットした時期に僕は大分から福島へ異動、移った先の病院の「文化祭」で病棟看護師らの命ずるまま、この曲にフリをつけてとんでもない格好で踊らされたものだ。
誰かの闘病記で、島倉さんは本当に優しいのだと読んだ記憶がある。

***

4限の終了間際、「やや知的に低い患者さんが、注意を引くために故意ともヒステリーともつかない転倒を繰り返すのに、どう対応したらいいか」という質問が出た。
これを皆に振ったら議論百出、出るわ出るわ。
「叱りつつ抱きしめる」人情派から、「あえて無視する」クール党、説得派に内省誘導派、「苦い薬を与えて懲りさせる」工夫派、ここぞとばかり皆、熱っぽく自説を述べる。

このエネルギーを活用する授業を、それこそ「工夫」すべきなんだろう。
受講者の多くは自分自身の現場があり、日頃それぞれの工夫をしている。
それを仲間にぶつけてみたいのだ。

***

帰宅したらIさんから、はがき詩信91が届いてた。
転載する。

 

11月11日が「下駄の日」は可笑しいや。
そういえば今日、西武線の中に下駄ばきの青年がいたな。
この日は僕にとっても大事な日なのだった。

アタマが朦朧として、詩がすんなり頭に入ってこないが、それでも下記の句にはハッとする。

昇る朝日は
生まれる前の記憶のように
美しい

(安川登紀子『長老の愛した女たちの季節』から)

すぐにマネしたくなるのは、元ネタの秀逸な証拠だ。

沈む夕日は
次の世への希望のように
輝かしい

おやすみ!