散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
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久々にやっちゃいました

2014-01-15 23:19:05 | 日記
2014年1月15日(水)

 ええ、久々に。
 
 乗換駅のエスカレーターは満員、追い越しレーンも前がつかえて皆足踏みしている。頭上のホームに列車の入ってくる気配があるが、このタイミングなら急がずとも間に合う。
 僕の後ろに立ってる誰かは、それが分からないらしい。しきりに荷物や何か背中に当たるのは、何とか前に出たい様子だが、それは無理というもので。エスカレーターがホームに着く、最後の2歩が待ちきれずに、僕の肩に乱暴にぶつかって押し通った。
 「気をつけろ!」
 一喝するが、もちろん聞こえはしない。聞かずに済むよう両耳をイヤホンで塞いでいる。そんなことだから列車の音がよく聞こえずタイミングも計れず、人を押しのけて無用の駆け込み乗車をするのだ。
 ゆっくり歩いて車両に入ると、若者はさっそくスマホを取り出している。その肘を軽く突いた。
 「気をつけて、歩いてくれないかな」
 まともに睨みつけた。
 細い目が倍ほどの大きさに膨れ、憎々しげに見返してきた。このオヤジ、ボコにしてやろうかと顔に書いてあるが、腹が立ちすぎてか言葉が出てこない。人から注意されることに慣れずに育ってきたね。
 「気をつけて!」
 ダメ押しにもう一度、しっかり目を睨んで車両の奥に入った。後ろからかかってこられたらひとたまりもないが、そうはなるまいとタカを括っている。
 実際無事、それだけの話でした。

***

 こういうことはすまいと、昨年あたり自戒したのに、新年早々やってしまった。
 たぶん当人は自分の何が悪いかよく分かっていないから、これでは行動修正につながらない。短気な相手に殴られてケガでもしたら、親にも神様にも申し訳が立たない。匹夫の勇とはこのことだ。いじめられている誰かのためならともかく、自分のことでこんなリスクを冒すものではない。第一、誰のためにもなりはしない。

 気が立っているんだね、「気をつけて」は自分のことだ。
 

ダルマさん転んだ、けど起きた/夜の勉強会

2014-01-15 08:41:19 | 日記
2014年1月14日(火)

 昨日で満87歳を迎えた父が、友人を訪ねて永田町まで出かけていった。
 といってもアベ氏やその関係者ではない。わが家はそういう方面には縁がない。陸軍士官学校予科の同窓で、陶磁器の商いを手広くしておられるという。御自身も柿右衛門父の許で5年間修行なさったそうで、どちらにしても父の交際範囲には珍しい御仁である。
 良いものがあったら買ってきたら、と出がけに母が声をかけ、焼き物の何が良くて何が悪いかなど、とんと関心のない父のことでどうなるかと思っていたら、一点だけお土産があった。

 はい、これです。


 両目の入ったダルマさん、手描きなので表情がひとつひとつ違っている、気に入ったのを選んでくださいよと指示があったそうな。比較は分からないが、まだ若気の気負いのあるような、凜々しいダルマさんだ。

 これでは大きさが分からないね、もう一枚。


 この通り小さなものだが、ちょっとしたカラクリあり。横向きに転がしてもちゃんと起きてくるのだ。さすがダルマさん、小さくとも七転八起の性根をしっかり据えておられる。
 誰がこのお土産をもらうか、高校受験を控えた三男にと声があがったが、この際は「七転」しちゃっては困るので却下。このところよく転ぶ僕に資格ありと主張して、手許にしっかり確保した。

***

 夜は薬の勉強会、イザベルさん・クチブエ君の尽力で17回目を数える。いつからか「塾」外の人たちが休まず出席するようになって、良い時間を過ごしている。
 今夜はアシュトン・マニュアルを一時間ほど輪読した後、お弁当をつつきながら雑談・歓談した。薬のことから始まって、カウンセリングや対人援助一般に話が拡がるのはいつもの通り。
 9時も回ってから、勝沼さんが福島から戻ったその足で合流し、そこから話が一段と盛り上がるのも、これまたいつも通り。
 福島は美味しいものが多いのに、震災・放射能禍以来、多くのものを封印している。その福島のあんぽ柿を勝沼さんがおみやげに持ち帰ってくれた。小ぶりな渋甘の塊を、じっくり賞味した。
 深夜、クチブエ君から『認知行動療法のエビデンスを批判的に吟味』した論文のコピーが送られてきた。薬物療法単独よりも、心理療法を併用したほうが有効なのは確実だが、加味される心理療法がどの技法であるかによっては大きな違いが生じない、あらましそんな論旨(のはず)である。僕らの集まりではよく出る話で、一度ネタ元を知っておきたいと思ったのだ。
 「無治療に比較すればどのような『もっともらしい』治療も勝てるのである。」
 楽しくも励まされる結句ではないか。

 皆と会って帰ってきて、わずかながらはっきり心の軽くなっているのを感じる。ヘタレては抱き起こされる、その繰り返しのこの冬だ。
 ダルマさんのでっかい目がにらんでいる。