散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
コメント歓迎、ただし仕事関連のお問い合わせには対応していません。

面接授業@松山 ~ 第二日

2014-04-21 20:00:06 | 日記
2014年4月20日(日)

 チェックアウトして通りに出れば雨模様、余儀なくタクシーを拾う。初乗り530円はいかにも安い。東京は710円だったっけ。
 今朝の運転手さんは「見たら分かるでしょう」流とは違って、気のいい話し好きのおじさんである。ワンメーターの間にずいぶんやりとりすること。
「松山は、お城だけはええね。お城だけはね。こんなええお城は他にないわい、これは絶対、最高じゃ、お城だけはええわい・・・」
 同感ですが、お城以外に何もないですか、と訊こうとする矢先、右手の路地から軽自動車がするすると出てきた。ここぞとばかりクラクション、それでもまだ1mほど前進して、あやうく接触するところ。悪名高い「伊予の早曲がり」で知られるとおり、「直進優先」の大原則がこの町では甚だ影薄いのである。「東郷/秋山の敵前回頭はこの地の伝統」とは、父の説。なるほど、お城だけは、か。
「あれじゃけんな、もう、何を考えとるかわからんのよ、ストレスが多いわい」
 ストレス論をかわす間に、愛媛大学についた。

 一日目、開講時にアンケートをとり、その記載を二日目にとりあげることを恒例にしている。純粋な興味関心から受講する学生ももちろんあるが、自身や家族が精神疾患当事者というケースが必ず何割か含まれており、さらにメンタルヘルス関連職種に従事する人も少なくない。自ずと受講態度も真剣になる。
 アンケート内容を、本人の同意を得て紹介することも呼び水になって、二日目は自己開示を含んだ質問や意見が多く出る。個人相談に流れないよう舵を切りながら、出席者の体験共有へと誘導するのが講師の腕の見せ所で、腕の善し悪しはともかく僕はこれが好きなのである。
 特養の看護師さん、就労支援担当のシルバー男性、鍼灸院を舞台に地域住民のストレス管理にあたる視覚障害者等々、多くの話題提供で盛り上がった。中に自分がアスペルガーだという若者が居て、「興味のあることだといくらでも集中できるが、興味のもてないことは全く頭に入らず、その場に居続けること自体難しい」と不気味なコメントを書き込んでいた。彼がいつ教室を出て行ってしまうかハラハラしていたが、ちゃんと最後まで礼儀正しく受講してくれた。
 締めくくりのテストを実施して成績評価を係に提出、相変わらずの小雨の中を門まで出ると、父の車がちゃんとそこに待っている。
 
 北へ20㎞走ってわが実家。ウンナンソケイが咲き誇り、ツツジもちらほら始まっている。通販で買って送っておいた庭用のポールバリカン、使い物になりそうなのを確かめて一安心。
 あとはお天気だ。