散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
コメント歓迎、ただし仕事関連のお問い合わせには対応していません。

暗さに強い、白い人々

2014-07-12 12:43:17 | 日記
2014年7月12日(土)
 ふと思い出したのだが、白人は僕等よりもずっと夜目が利く。
 セントルイスで暗室作業をする時、繰り返し確認した事実である。暗室内にはごく弱い赤色光が灯っているが、僕などは暗順応が最大レベルに達しても手探りで、暗くする前に段取りしておかないと作業にならない。
 ところが、アルバイト技官のジョンだのスティーヴだのトッドだのは、僕よりもはるかによく見えていて暗室でも自在である。
 「そこの、それ取って」と言われて、「どこの、どれ?」ってなことがよくあった。
 単なる個人差でないことは、スンヒョンやドクター・チンが僕と同類であったことで検証済みである。モンゴロイドとコーカソイドの違いなのだ。青や緑や灰色の瞳は、強い日差しを苦にする代わり暗さには強い。彼らが地球環境に適応して分化を遂げた地域が、陽光に乏しい条件をもっていたことを如実に示している。むろん、皮膚の白さとも対応することだ。黒さを担うメラニン色素は、紫外線から体を守る作用をもつ。その必要が乏しい地域で白い人々は分化したのである。
 それで腑に落ちたんだが、アメリカの白人家庭では(どこの白人も同じだと思うが)夕食の団欒などの際、僕らの基準からするとずいぶん灯りを暗くする。ちょっとわくわくする小粋な習慣だが、せっかくの料理なんぞをもう少しはっきり見たいと感じることもあった。
 彼らには、あれで十分なのだ。

***

 ちょっと嫌な連想が動いた。
 この人々と戦場で ~ 夜間の白兵戦で相まみえたら、勝負にならない。「どこの誰?」なんて言ってる間に、たちまち狙撃されて一巻の終わりだ。南の島々で、現にそんなこともあったのだろう。
 嫌なことだ。