散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
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コリントの地図

2014-07-14 07:53:03 | 日記
2014年7月14日(月)

 昨朝ちょちょいと作って配った地図を、自慢げに貼りつけておく。
 思いっきり簡略化したんだが、案外このほうが役に立ったりする。そしてこれだけでも十分考えることはあるのだ。
 フィリピで鞭打たれ投獄されても屁とも堪えなかったパウロが、アテネの学堂では完全に無視ないし嘲笑され、たぶん彼の人生で最悪の無力感に陥る。そこから「茎」の地峡をわたって移ったコリントは繁栄と猥雑の巷、そこで道が開けるんだから人生は(あるいは神慮は)量りがたい。
 書かれていない地名を頭の中で埋めて行ったらいい。僕としてはとりあえず、次の伝道旅行で彼が再訪するトロアス(トロヤ)が気になる。
 この地図には入らない。エーゲ海を挟んでコリントの北東300km、若者エウティコが居眠りして窓から転落した、あのトロアスだ。


假途滅虢 踐土會盟 ~ 千字文 073/飲酒免許制に共感の朝

2014-07-14 07:32:07 | 日記
2014年7月14日(月) 巴里祭!

○ 假途滅虢 踐土會盟
途(みち)を借って虢(カク)を滅ぼす。踐土(セント)に会して盟を結ぶ。
虢は国名で、この文の主語は春秋五覇の晋、または晋の献公である。
踐土も地名、同じく春秋時代に魯の僖公が晋の文公と共に諸侯を集め、条約(?)を締結した。

 前段について。
 晋は虢を撃とうとしたが、途上に虞(グ)の国を通過する必要があった。
 献公は千金に値する名馬と碧玉を虞公に贈り、虞公はこれを許したが大臣の宮之奇(きゅう・しき)は虞公を諌めた。
 「虞と虢は、唇と歯がよりあっているようなものです。唇が無くなれば歯は寒いもの、晋は虢を滅ぼし、返す刀で必ず虞を攻めるでしょう」と。
 しかし虞公はこれを容れず、果たして晋は虢を撃って帰す兵で虞を攻めた。
 宮之奇は「大王は宝を貪って国を滅ぼした」と嘆いた。
 
 以上は李注が『春秋左氏伝』を引用するのだが、「唇が無くなれば歯は寒い」とあるのが面白い。唇はなかなかなくならないだろうけれど、歯は年齢と共に減るものである。

 知歯去って唇寒き春二十歳

 最初に親知らずを抜かれた時に、ひねり出した一句だった。

***

 小樽の4人ひき逃げ、川口のミニバイク引きずり、どちらも加害者が酒を飲んで運転している。
 今月の卒論ゼミで、宮城のTさんが「飲酒免許制」を喫緊早急の課題として本気で提案するので、日本の現状からはちょっと無理があるでしょうとコメントしたんだが、こんなニュースに触れると考えも変わる。
 びた一滴飲まない人間が、地球上に(たぶん)10億人単位でいることを考えるなら、「免許制」ぐらいは軽いものかもしれない。
 「公共の場でタバコやめろなんて、日本では無理やと20年前には思いましたけど、案外すんなり行きましたわなぁ」と京都のFさん。

 もうひとつはスマホ/ケータイだ。
 昨日朝、家内が車で送ってくれたが、住宅街で正面からトロトロやってくる外車がひどく中央に寄っていて、一瞬ひやりとした。すれ違う時に見たら、運転席と助手席の男女がスマホ(?)を両側から覗き込んでいる。当然、前は見えていない。
 小樽の加害者は最初、「ケータイを見ながら運転していて、前をよく見ていなかった」と供述したらしい。おおかた酒を飲んだうえ、ケータイやってたんだろう。「ケータイ見ながら運転したら危ない」という判断が酒で鈍るから、足し算ではなくて掛け算だ。

 何かしない限り、事故は頻々と続発するに決まっている。
 命がいくつあっても足りない。