散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
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イモの形と国の形

2015-09-17 11:55:00 | 日記

2015年9月17日(木)

 昨日また田舎から荷物あり、「さつまいもの形が変なものばかり!もっと良い形のものを育てたかったのですが」と父のメモ。形なんかどうでもいい、みっちりどっしり大きくて、こんなに美味しいんだもの。商品化された甘いばかりのサツマイモとは異質の、大地そのものの味がする。

 形が大事なのは、イモではなく碁だ。石の形が碁の命、勝負に負けても形ばかりは崩すまい。(そんなこと言ってるから勝てないんだよ。)

 もうひとつは国政である。利害・思惑の調整ができれば良いというものではない、国政にはそれなりのあるべき形があるはずだ。論理的には完全に破綻している。国民の理解を得られていないことを自身が認めた。それでも、実施しさえすれば理解は後から着いてくるという。「俺に任せておけ、悪いようにはしない」ということだよね。形も何もありはしない、通る話だろうか?

 

 三男の高校は都心にあり、昨日は敷地内にまでデモ参加者が溢れてくる勢いだったという。今日はさらにと予想されたが、この天気である。歴史の転換点、八大龍王雨やめたまへ・・・

 


都美館展/「1,2,3・・・無限大」

2015-09-17 09:48:44 | 日記

2015年9月17日(木)

 書き落としていたが、先週末は上野へトンボ返りして、都美術館展(トビカン展と呼び習わしている)をちら見してきた。斉木章代画伯の作品が眼目だが、これは多方面の力作揃いで、本当は半日かけてゆっくり見たいものである。

 田代りえ子 「Living Things」 ・・・ 中央のでっかいカメレオンが輝いている。

 深澤三枝子 「平和のとりで」 ・・・ オブジェは夥しい数の、雛のくちばしだったんだろうか。メッセージがついていて、「カラスはなぜ鳴くの?」と問う。人間がすっかり地球を破壊して安心してかわいい子らを育てられないので、「バカー」と鳴いてるのだそうだ。「アホー」と聞いても良いのですよね?

 石井正樹氏は自身の考案したペーパーモデリング・アートの作品群を展示している。紙だけを使った手法で、フクロウの羽毛には障子紙を使うという具合に、紙も多彩に工夫を凝らしている。(http://www7a.biglobe.ne.jp/~atorie-m/index.html)

 神尾朝美 「カルト」にはぎょっとした。

 「タイの心」や「源氏物語」の連作、鞆の浦あたりの丹念な写生画もいい。

***

 帰りの電車の中で、隣に座った温厚そうな初老の紳士が、いかにも嬉しそうに微笑みながら本のページをめくっている。

 『1,2,3・・・無限大』

 ガモフの名著が新しい版で出たらしい。「僕も読みましたよ」と話しかけてみたかったが、あまりにも満ち足りた幸せそうな様子に、つい声をかけ損ねた。

 ガモフ全集は小学生の時に母が買ってくれたもので、今に至るまで最愛読書の一翼を占めている。 『1,2,3・・・無限大』もその一冊だと思っていたが、帰って確認したら違った。「1972年2月24日、Y子叔母さんより」と書き込みがある。高校に入った年の2月である。入学手続きのために上京した際、東急プラザのロゴスキーでお昼を御馳走してくださった。その時お祝いに買ってくださったのに違いない。ボルシチとピロシキの味は覚えているのに、本の方は忘れていた。

 叔母さん、あらためて、ありがとうございます。