散日拾遺

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雨の交差点/若者の変化の兆し/ステテコもらった!

2015-09-18 07:26:12 | 日記

2015年9月17日(木)

 午後も雨脚は強い。

 御茶ノ水駅前のスクランブル交差点を、長身の若者が松葉杖で渡っていく。「傘も差さずに・・・」と一瞬思ったが、もちろん差せないのだ。左脚の脛から下ががっちりギプス固定されている。傘を差し掛けると、見下ろしながら「ありがとうございます、申し訳ないっす」と体育会風の挨拶が返ってきた。スポーツ外傷に違いない。種目は何だろう? 「どこまで?」「ロッテリアです。」お昼ごはんだね、午前中どこかを受診し、薬局で時間がかかって1時半になったのだ。

 1972年の11月頃かな、それとも12月か。何しろY子叔母さんにガモフの本をいただいた、同じ年の晩秋から初冬である。渋谷で映画を見て、帰り道に雨に降られた。吉祥寺駅近くの交差点で信号待ちしていると、ふと頭上に傘が差し掛けられた。小柄でずんぐりしたスーツ姿の男性が横にいた。びっくりして何度も御礼を言ったように思う。信号が変わると、軽く会釈して足早に去って行った。『モダンタイムズ』を2回見てぼうっとした頭に、男性の後ろ姿が似てもいないチャップリンと重なった。

 「大丈夫です、ありがとうございました。」

 ゆっくりお昼を召し上がれ。

***

 安保法案、参院特別委員会で「一瞬の虚を突いて」採決、碁じゃあるまいし。憮然として画面を眺めていると、フランス人の落語家が出てきた。尻流(シリル)さんというのだ。「日本の国技は相撲、フランスの国技はストライキとデモ」とさっそく笑わせる。その彼が見るに、日本の若者が変わり始めている。ごく日常的な感覚でデモに参加し、政治を論じる若者が増えているという。

 デモの現場で関西の女子学生と話しこんだ末、「政治を語ることが日本の若者のタブーでなくなりつつある」と尻流の結論。これまでは「タブー」だったのか、フランス人の感覚からすれば「無関心」というレベルではなかったのだね。こうして若者の間にカウンター・デモクラシーが育つなら、新しい展開も期待できるかもしれない。議事堂の中ではなく外に、だ。

 昨日、思いがけないプレゼントがあって心和んだ。今日になってあらためて送り状を見たら、品名が「ステテコ」とある。あらためてくつくつと笑った。「ステテコもらった」って、何だかとても嬉しい感じがする。既に二度楽しませてもらい、着るときは三度目の楽しみである。

 夜になって、ディレクターのSさんからラジオの仕事の誘いがあった。できることを、僕もしよう。