(しぎたって あとさみしさの よあけかな)
吉田松陰入獄の野山獄に、高須久子という女囚がいた。彼女は姦淫の罪によって入牢している美しい人だったそうである。当時「委託刑」という刑があり、久子は一族の依頼によって獄に押し込められていて、食費その他の経費は一族が拠出していた。
松陰出獄の時、他の十一人が、若い松陰のために送別句会を催した。掲句は、その時の久子の句で、鴫(しぎ)は松陰の俳号、子義と掛けている。
獄中ではあるが、松陰にとって唯一の淡い恋と言えそうである。
カヤツリグサ(蚊帳吊草、莎草) カヤツリグサ科 カヤツリグサ属の一年生植物。