一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

696 鴫立つてあと淋しさの夜明けかな  久子

2012年09月06日 | 

(しぎたって あとさみしさの よあけかな)


 吉田松陰入獄の野山獄に、高須久子という女囚がいた。彼女は姦淫の罪によって入牢している美しい人だったそうである。当時「委託刑」という刑があり、久子は一族の依頼によって獄に押し込められていて、食費その他の経費は一族が拠出していた。

 松陰出獄の時、他の十一人が、若い松陰のために送別句会を催した。掲句は、その時の久子の句で、鴫(しぎ)は松陰の俳号、子義と掛けている。

 獄中ではあるが、松陰にとって唯一の淡い恋と言えそうである。

カヤツリグサ(蚊帳吊草、莎草) カヤツリグサカヤツリグサ属の一年生植物。

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