雷鳴やテネシーワルツを切りきざむ 洋子
パラソルの下で器用にタバコ巻く
なめくじの跡キラキラと父母の墓 歩智
朝摘みの花付き胡瓜幸多し
車内みなケイタイ覗く夏の昼 豊春
夏の宵赤き爪にて宅配子
蛞蝓女形の腰の美くしき 薪
ブラックホール蛍火一つ吸い込めり
百合の香の独りの闇に抱かれをり 章子
生きるとは病むことなりやなめくじら
道端のカサブランカとコカコーラ 炎火
白壁のメタボのトカゲ尻尾欠く
なめくじの銀の足跡鉢の底 一煌
うすき影うすばかげろふ羽光る
旅に出で家人想うや合歓の花 稱子
夜濯ぎや灯りの消えぬ大都会
蛞蝓の三億年の歩みかな 雲水
敏捷が生き抜くちから金魚の子