花辛夷夜半の明かりとなりにけり 稱子
山笑うパン屋に今朝も長き列
夕東風や利島新島近寄りぬ 豊春
仄暗き露地に散り敷く紅椿
節くれの指にマニキュアして花見 洋子
海鳴りにまじりて届く初音かな
もの思ふ宵の花冷え足裏より 章子
春灯生きる証しの句作かな
幼児はまず茹で卵花見かな 歩智
老櫻薄墨色にいとさみし
白鶺鴒チュンチュンと春の小川 一煌
春燈や指きらめかせ杯をあげ
花上野ビニール敷きつめ友と飲む 余白
孫三人桜花よりいと愛し
目刺焼き手を俎板に豆腐切る 雲水
生若布さっとさみどり茹で上がる