「木・火・土・金・水」を主とした陰陽五行説によると、秋を色に例えると白で「白秋」、風は「白風」である。又、秋を金属に例えると金で、風は「金風」である。
では、秋風を白でも金でもなく「色なき風」は、どうして生まれたのか。「古今和歌六帖」に記載された紀友則の「吹き来れば身にもしみける秋風を色なきものと思ひけるかな」と使ったのが初出らしい。元々風は、つまり空気は無色透明なのだから、友則さんの言っているのが最も正しい。
さて、そんな色なき秋風の中に、去り逝く友の魂が作者に別れを告げんと、夢でも幻影でもなく、真実すっくと立っていたという。
白萩