歳時記に、「時雨とは、さっと降ってさっと上がり、時には断続し、時にはしばらく降り続く雨をいう。冬の初めごろから中ごろにかけて多く降る。山から山へあたかも夕立のように移動しながら降ったり、対岸は日が当たっているくせに、こちら側は降っていたり、なかなか趣が深い。北国に多く、京都の時雨は昔から名高い」とある。秋に降る時雨は、秋時雨である。
さてこの句、庭仕事を休んでいたら、頭でも体でも足でも手でもなく、なんと指に雨が降って来た、という。たぶん、たった一滴であろう、まず指に雨が降り出したのだ。自然界の良くあることではあるが、作者の驚きが感じられる。そして、それはパラパラと降り、しばらくして止んだのであろう。
サルスベリ(百日紅)