SLの汽笛にはしゃぐみどりかな 薪
山の霧どこか綻び忍び音す
芝桜青き空まで競り上がり 海人
忍び音や娘の仕草妻に似て
覚めてなほ昼寝の国に返りたし 章子
花瓶みな紫陽花となる友の愛
白魚と言われし指も今どじょう 歩智
ジーンズの裾をくるくる折って初夏
紫陽花の藍を盗みて絵の具とく 洋子
万緑や女だらけのカフェテラス
初夏の風皮膚感覚を呼び醒ます 炎火
忍び音に忍びの術の黒い猫
蟇百匹組んず解れつ春うらら 侠心
薫風をはらみてガウチョ闊歩する
鯉の口そろいてあきし夏の雲 豊春
忍び音に機械唸なる山仕事
庭の木に琵琶の実熟し眺むだけ 余白
忍び音を聞くこともない馬込かな
一山の四葩ふるわす護摩太鼓 稱子
肌で知る雨の気配や濃紫陽花
酔って出て箱根空木の花零す 雲水
薫風や阿弥陀の耳朶に金かすか