踏みしめる土の弾力ふきのとう 蠍
手のひらに豆腐切る朝春隣 〃
春立てり波の潮目に吹く風に 吟
あんぱんのおへその上の桜かな 〃
カツカツと春風を行くハイヒール 心
春めくや貧乏ゆすり見せており
料峭や幕府黒松魚付林 マープル
屋台の枘コツンと嵌める梅三分 〃
真夜中に氷柱は牙を研ぐらしい さくら
生国はどの辺ですか山の独活
しほらしき薄氷なすがまま光り 黒薔薇
ぽつんと人影小路に余寒かな
一羽来て一羽出て行く巣箱かな 伊豆山人
陽の当たるベンチをえらぶ梅見処
マフラー巻くリボン結びのお地蔵さん 豊狂
春時雨日曜朝のヴィヴァルディー
梅咲いた秒針コトリと動いた ルパン
定置網後光差しけり春の湾
春がすみピンクに染めて綿菓子に 吠冲
マスクとれいいえ私は花粉症 〃
早春の馬込百坂風の音 淡泊
早春の池上梅園老夫婦 〃
冬桜友美しく身罷れり おぼこ
夫を看るそれも幸せ春隣
春寒の静かなる海眺めつつ コトリ
満開のマンサク見上げ背伸びする
梅咲かば香りほどけて鳥の声 信天翁
春の雪窓辺に踊り過ぎ行きぬ
春麗富士の笠雲追いかけて 翠風
青空と河津桜の朝湯舟
春浅き吹く風の色空の色 流水
吹く風に背を向けて行く浅き春
その喧嘩櫟が買った春一番 釣舟
そろそろと高足蜘蛛の春動く