テラスで新聞昇りくる尺取虫 蠍
カクテルにストロー二本夏の宿
尺取虫急ぎ足するボンネット 吠冲
ゆあんゆおん蝉時雨の風やハンモック
夏雲とゆらゆら電車語りけり 翠風
桜島噴火尺取り虫避難
片陰の若き鼾や道路工 マープル
食べおえしスイカの皮の化粧水
先行きのことはさておき心天 凛
雨上がる虹を渡っておいでませ
青田風山里暮らしの頬撫でる 豊狂
カタカナの賢治のポエム夏夕焼
さーらりと解く夏帯香わしや 黒薔薇
ウスバカゲロウ羽広げ天使的
朝の道夕べの道も蝉しぐれ 信天翁
帯なして故郷の山夕焼けて
あさがおに直哉の想いのせて観る 船山
走湯山社紋神紋わが家紋
朝顔を数えて今日の始まれり おぼこ
叱咤激励手つなぎ散歩夏の夕
生ビールプリプリ蛸に誘われて 心
「意気地なし」昭和の歌謡酷暑かな 〃
紫蘇湯掻く酢とお見合いで赤くなり 流水
冷酒や烏賊はあぶって裂いて喰い 〃
着る気なく捨てる気もなく藍浴衣 さくら
忍び入るバネ仕掛けめく尺取虫 〃
夏の夢二万年後の哺乳類 ルパン
蝉時雨仏とけ仏とけ五三八さん
白南風の波高なりて小舟舞う 歩智男
熱海では知らぬ人なしジャカランタ
赤トンボ命受け継ぎ悠々と 淡泊
どぜう喰いに出れば仲見世供養雨
閑けさや内耳に止まぬニイニイ蝉 釣舟
碧空に遊びて戻る土瓶割 〃