ふる里の駄菓子屋も消え鰯雲 凛
身の軽き茶髪の庭師冬構 〃
冬構始まる脚立運ぶより 冬華
新之助てふ新米を白粥に 〃
サッチモをバーボンで聴く寒夜かな 仁
うとましや時雨の夜の腰の骨 〃
冬構伊豆の山々セピア色 豊狂
朝時雨ゴミ出し男背丸し 〃
〃
畑道の草寝そべりて冬ぬくし 信天翁
冬ぬくし身動き軽き昼下がり 〃
老集う居酒屋ムード囲炉裏端 淡白
大松の枯れ葉重なりゴザ模様 〃
奥付の横に旧姓一葉忌 紅
残菊や畝の隅っこに括られし 〃
もの言えぬ犬の涙や山眠る コトリ
榛の実をクシュクシュ踏んで山路かな 〃
初霜のたよりを聞けば冬構 みやび
あと五分ふとんをかぶりしがみつく 〃
立冬に夏日を記すエルニーニョ 伊豆山人
酉の市熊手にサイフが届かない 〃
花八ツ手死にゆく犬の眼に泪 釣舟
亡骸に土を掛けゆく寒さかな 〃