初鏡たしかにこれは祖母の顔 吟
ひょうきんな綽名のまゝの初便り 〃
冬の月泣かないための赤ワイン 黒薔薇
大寒や真っ赤なビーツスープ美味
初詣明るい方へ歩き出す コトリ
食べないの寒の山雀餌隠す 〃
戻らざる遠くの人も冬ごもり さくら
雑煮椀具は串刺しが博多流 〃
熱燗をグっと飲み干し出す答え 流水
雪嶺の朝日をかえす赤き富士 〃
寒椿美しきまま落ちまする おぼこ
老人が老犬を引く冬の坂
寒雀枯萱足場ぶらんこに 豊狂
餅焦がし顔火照すどんど焼
保険証ポインセチアのわきに出す 伊豆山人
松かざり一週間の寿命かな 〃
寒波きし故郷の山凛として 信天翁
夕暮の畑道哀し虎落笛 〃
バルザックの彫像重き黒マント マープル
孫娘より化粧の手解き女正月
冬空に一羽のカラス見張りおり 心
初明りスマホに届くうさぎ年 〃
初出航鴎達追いかけてきた 翠風
朝風呂や河津桜が二輪咲き 〃
八重の香につつまれ迎える初明り 吠冲
双六やまた振り出しで戦前に 〃
ゴミ箱に正月飾り虎の絵馬 ルパン
初日の出大仏様の眼の如し
メモ忘れスーパーうろつく夜寒かな 蠍
一字一句心をこめて寒中見舞
枇杷の花咲いて受粉の手を求む 淡白
銀杏の樹裸に成りて月を載す
山雀の糞の一滴初景色 釣舟
凸凹の沖雲に穴初日の出 〃