竹島宏さんの3月15日に発売された新曲『サンタマリアの鐘』を紹介したいと思います。この曲は『プラハの橋』『一枚の切符』に続くヨーロッパ三部作の完結編になるとのことで、舞台はイタリアのフィレンツェです。
前二作では恋人との切ない別れを歌っていましたが、その二人の運命やいかにといったところでしょうか。まあその結末はフルコーラスのMVによる本人の歌唱で聴いてもらうことにしましょう。完結編にふさわしく、落ち着いた風格のある曲だとは申し上げておきます。
というわけでここではちょっと個人的に、私が竹島宏という歌手を知ったいきさつを述べさせてください。ちょうど20年前、NHK歌謡コンサート(現・うたコン)で当時定期的にやっていた新人演歌歌手特集に出演していて、最初は何かチャラい感じの男だなというくらいに思ったのですが、歌はうまくてオーラがあって、『函館哀愁』の曲も気に入り、その後カラオケでよく歌ったものです。
でもNHKがそんな企画をしていたなんて今なら考えられないですね。当時は氷川きよしさんが大人気で、彼に続く演歌のスターを発掘したかったようです。
竹島宏さんは山内惠介さんに続く二番手くらいの扱いで、現在も片や紅白の常連となっているので後塵を拝する形にはなっていますが、若年層に配慮してか演歌枠を減らしているNHKの方針に割を食っていると言えるでしょう。
紅白自体が変質していていつまで続くかも不透明ですし、紅白のことなんか気にせず、竹島さんは自分なりに個性を発揮していけばいいと思います。
寄り道はこのくらいで、『サンタマリアの鐘』に戻ります。まあ地味な印象の曲ではありますが、彼らしくエキゾチックで気品があって、聴き込むとその良さに惹かれる良質の歌謡バラードです。
歌謡曲ファンはもとより、多くの方に是非聴いてもらって、この歌手の魅力を知っていただきたいと願っています。