走裕介さんは以前から知っており、彼の曲はカラオケで歌ったこともありますが、今回、新曲歌謡レッスンで、7月24日発売の『知床挽歌』を習いましたので、このブログで初めて取り上げることにしました。
彼は村木弾さんと同じく船村徹氏の弟子で、この曲を作曲した蔦将包氏は船村氏の長男だそうです。
この曲は羅臼に住んでいた夫婦の実話が元になっているそうで、男性主人公が亡くした妻をしのぶ内容です。知床といえば北の果て、荒涼といったイメージがあり、その知床の情景が主人公の心情とマッチして、わびしさを際立たせています。
この曲の特徴は、まずその題材で、「蝦夷ふくろうがこずえで鳴く」「揺り椅子揺らしセーター編んでた」「髭づらを剃りなと剃刀わたす」といった、普段よく聴く演歌にはないような情景が次々出てきて、独特の味わいがあります。
歌詞の表現でも「汚れてしまった哀しみだけを」と中原中也の詩を思わせるものや、「おもいでばなしが手ぶらでくるよ」という面白いフレーズがあります。
作詞の高田ひろお氏は、『およげ!たいやきくん』で有名ですが、演歌・歌謡曲でも多くの作品があり、多才な作詞家だと思います。
この曲はキーが高く、レッスンでは男性でも-3が上限でしたが、-2くらいはいけるかもしれません。女性だと-5より下げてもいいようです。
走裕介さんは地味な印象がありますが、この曲でも丁寧で安定した歌唱で好感が持てます。今後の活躍に期待したいと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=QxLYMvJS0fw