あさみちゆきさんは、デビュー以来私が目をかけている歌手の一人です。地道ながらもその期待に違わず、独特の存在感を確立して活躍していると思います。
この『お月さん とおりゃんせ』は、彼女のアルバム『あさみのうたⅨ』の収録曲で、評判がいいのでシングルカットされ5月21日に発売されたものです。
まるで童謡のようなタイトルですが、内容はダークな想いを吐露するもので、こういう曲は彼女の得意とするところです。初期にも『港のカラス』という同傾向の曲がありました。好みの分かれる曲でしょうが、こういう雰囲気にひたるのも歌謡曲の楽しみの一つなのだと思います。
彼女はデビュー前から井の頭公園での路上ライブを続け、観客にじかに語りかけることを大切にしてきました。誠実な人柄がにじみ出た歌は、心の中にストレートに訴えかけてきます。
これからも聴き手の気持ちと一体化して歌の心を届けられる歌手として、ますます大きく成長していってほしいと思います。