社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

9月14日(月)

2015年09月25日 01時19分22秒 | 2015年

  6時起床。身支度を整え、7時過ぎにホテルをチェックアウト。

  帯広から、日高地方へ向かう。所要時間は、約3時間。普通のドライブなら少し長いが、道中は開放的で気持ちの良い景色が続くので、とにかく楽しい。とにかく広大な土地が延々と続くので、自然と心がワクワクしてくる。

  浦河地区へ入ると、すぐに牧場が見えてくる。車を降りると、私に気付いた馬たちが寄って来てくれる。なんて可愛いんだろう。まさに、至福のひと時。やはり、馬には間違いなく癒しの力がある。それも、大きな力が。

  浦河地区で、昨年訪れた際に会った芦毛ちゃんに会おうと思ったが、いなかった。残念でならない。そこで、予定を変更して日高スタリオンステーションへ。事務所で記帳してから、自由に放牧地に入ることが出来る。全体的に、のんびりとした雰囲気の牧場だ。私が着いたのがちょうど馬たちの移動のタイミングで、馬を曳いたスタッフさんと何度もすれ違った。そのスタッフさんが優しくて、私が神奈川から来たことを伝えると、「遠くから来たんだから、ゆっくりしていきな」と声を掛けて下さった。そして、馬たちも伸び伸びと過ごしていて、私を見つけて駆け寄って来てくれる馬もいれば、威嚇してくる馬、全く気にも留めていない馬など、それぞれの性格が違って面白い。

興味深々。

がっつり威嚇してきたが、そのあとはなぜかすり寄ってきた。ツンデレらしい。

静かに寄って来てくれた。

向こうで何か音がしました。

2人は仲良しの様子。

気にせずせっせと草を食む。

泥浴び。

凛々しい視線。このあとすぐに甘えてきます。

  浦河地区を後にし、静内へ。静内駅からほど近いところにある和食料理屋「天政」で昼食をとる。秋刀魚、カンパチ、ツブ貝のお刺身に定食セットをつけたものを注文。秋刀魚を生で頂ける喜びと、脂ののったカンパチの甘みも素晴らしかったが、最も印象的だったのはツブ貝の美味しさである。コリコリした食感とかすかな塩辛さ、苦み、そして甘みが絶妙なのだ。「あー、幸せー」という声が思わず出てしまう。

サービスでつけて頂いたイカの塩辛。

  昼食を終え、新冠へ移動する。このあたりは本当に景色が良くて、今日は快晴だったこともあって、空がとても綺麗だった。あまりに綺麗で、心なしか空が近くにあるような気もしてくる。

  前回もお世話になったビックレッドファームへ。ここは私の知る限り最も心の広い牧場で、事務所に一言挨拶さえすれば、自由に散策できるのはもちろん、厩舎の中にも入って良いことになっている。しかも、アグネスデジタルを始め、ハイアーゲームやタイムパラドックスといった現役の種牡馬や、”道営の星”と言われたコスモバルクがいるのに、である。特に、アグネスデジタルなどは今でも結構人気のある種牡馬(つまりは大切な資産)なのに、ここまで近づくことが許されるというのは本当にありがたい。そういえば、今年で引退が決まっているゴールドシップも引退後はここで過ごす予定になっているが、彼が来てもこうした方針は変わらないのだろうか。そうだとしたら、ファンとしては本当にありがたい。

1年振りのロサード君。身体が痒いらしい。

やはり、若駒は好奇心が旺盛で、駆け寄ってくる。いや、突進してくると言ってもいいくらいの勢いだ。

甘噛みなので痛くはありません。

競い合って遊んでもらおうとする。

純粋な好奇心に溢れる顔。馬なのに、人間の少年のような表情に見えませんか。

そうかと思えば、少し大人っぽく凛々しい表情にもなる。青春真っただ中といった感じだ。

甘噛みでも、元々の力が強いので、これくらい噛まれると普通にアザになります。でも、それも何か嬉しいもの。

とにかく匂いを嗅ぎたがる。

競い合っているうちに、お尻を噛んだりもする。これも甘噛み…ですよね?

私が歩くと、一緒についてきてくれる。右奥にいるお母さん馬の無関心っぷりがまた対照的。

有名な種牡馬の中では、ハイアーゲーム君が放牧地で元気な姿を見せていた。若駒に負けない好奇心を持っている。それにしても、やっぱり黒鹿毛の馬はかっこいい。

  今回の旅行のメインイベントのひとつは、乗馬である。新冠にある「ホロシリ乗馬クラブ」では、初心者でも林間コースを選択することが出来る。受付を済ませると、何と私と同じ初心者コースには他の参加者がいないとのこと。そのため、インストラクターさんからマンツーマンで教えてもらうことが出来た。馬への乗り方から出発の合図、曲がり方、止まり方などを習ったら、すぐに林の中へ。これが、本当に気持ち良い。馬の背中は想像以上に高さがあり、その上から見える景色には爽快な新鮮さがあった。しかも、今回のパートナーはテキサス君という馬で、競走馬としての現役時代はダイワテキサスという名前で走っており、オールカマーや中山記念、新潟記念などの重賞を5勝し、2000年の有馬記念でも3着に入ったという実績馬だった。初心者の私が乗るには畏れ多いお馬さんなのである。道中は、文字通り道草を食ったり、終始マイペースなテキサス君だったが、拙い私の指示にもきちんと従ってくれて、賢くて優しい馬だった。ちなみに、テキサス君は今月いっぱいで乗馬を引退し、牧場でゆっくりと余生を過ごすことになっているらしい。今後は、もう人を乗せなくても良いのである。それは、競走馬として素晴らしい実績を残し、なおかつ良いオーナーに巡り合えた馬だからこそ迎えられる余生である。そんな素晴らしい馬に乗ることが出来て、本当に幸せだった。テキサス君、これからも元気で、自由気ままに長生きしてください。

  静内へ戻り、「静内エクリプスホテル」へチェックイン。荷物を置いて、静内の街を散策する。やはり、静内は競馬産業で成立している街である(静内に限らず、浦河や新冠もそうだ)。その様子が、街の至る所で垣間見られる。

ホテルの部屋から見た静内市街。

駅近くの歓楽街入口。

スナック「ロンシャン」。ロンシャンは、凱旋門賞が行われることで有名なフランスの競馬場のある場所。

スナック「オークス」。オークスは、3歳牝馬クラシックレースの1つ「優駿牝馬」の別名。

結構飲み屋さんが多い。今も営業しているかどうかは別として、少なくともこれだけの需要があった時代があったのだろう。

静内駅。

駅前通り。シャッター比率が高い。月曜日だからだろうか。

この鉄砲店はもうやっていないようだ。

やはり、飲み屋さんが多い。

昔はもっと多かったようだ。

メインの商店街。

商店街のお店の札は全てこのデザイン。

商店街では、スピーカーから歌謡曲と各店舗のコマーシャルが交互に流れている。このシステム、良いじゃん。

ホテルの目の前にある洋菓子・和菓子屋さん。ここで夕食後のデザートを購入してからホテルへ戻った。

ホテルがツブ貝をメインにしたお弁当を販売している。さっそく、明日の昼食用に注文しておいた。

  夕食は、ホテルのレストランで。このホテルは料理が美味しいと評判で、インターネット上でも特に朝食が絶賛されていた。普段は夕食は街に出て食べる私も、今日はその評判をあてにしている。

レストランは9階にあって、私が席につく頃にちょうど日が沈んでいった。

  注文は、ラムのしゃぶしゃぶと、つぶめし(ツブ貝飯)。ラム肉は冷凍ものだが、臭みがなくてしゃぶしゃぶでも美味しく食べられる。イメージとしては、歯ごたえの良い牛しゃぶといった感じだろうか。牛肉や豚肉よりもお肉を食べている感じがするし、あっさりしているからどんどん食べられる。これが関東でも食べられたら嬉しいが、きっと難しいんだろう。つぶめしは、ツブ貝の出汁がしっかりとご飯に染み込んでいて、これもまた美味しかった。これは、明日のつぶめし弁当も楽しみだ。

ドリンクは、北海道産トマトのジュース。濃厚。

  部屋へ戻り、デザートとして、先ほどのお菓子屋「ますや」で購入した豆乳モンブランと和菓子を食べる。お供の飲み物は、商店街の商店(コンビニではないところが重要)で購入した北海道限定のジュース。動き回った1日の最後に食べるスイーツ、しかも今回のようにレベルの高いスイーツは、美味しさの枠を超えて、一種の快楽を与えてくれるような気がする。

  健康的に1日遊び回ったおかげで、22時前には体力が限界を迎える。こういう限界の迎え方は最高だ。