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こんばんは・・・私はただいま浅草の鮨 一新というお寿司屋さんに来ています。
誕生日とかいろいろあってその辺も兼ねに兼ねて・・・そんな時はお寿司であります。
息子二人を義母に預けて、ミミコ嫁と二人で浅草へ・・・ところが行きつけ(といっても半年に一回ですが・・・)の寿司清さんが定休日だったので、あちこち探して見つけたのがこちらのお店。
なんと・・・世界一有名なグルメガイド誌、ミシュランガイドの星をもらったお店です。
だからという理由ではありませんが、初めて行く寿司屋さんは多少緊張しますなあ。
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じゃあまずはビール・・・かなり暑い日だったので、まずはビールで喉を潤します。
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お任せで切ってもらった刺身盛り合わせ。
左端から時計回りに、石垣貝、鮪中とろ、ごま鯖、鯒。
刺身しょうゆとポン酢が出てくるので、ご自由に・・・とのこと。
鯒はポン酢、他は刺身しょうゆかな・・・でも石垣貝のポン酢も行けるかも・・・。
ここから握りに入るのですが・・・こちらのお店、ネタが普通のお寿司屋さんに見られるガラスのネタケースではなく、木製のネタ箱に氷とともに入れられています。
なので、お好みで頼もうにもどんなネタがあるか判りません。
一々板さんに聞くという方法もありますが、ここは思い切って、板さんにお任せでお願いしてみましょう。
というわけで、暑い時期だったので、新子だけはコースに入れてもらえるようリクエストしておきました。
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というわけでいきなり新子!
新子といえば小肌の特に小さいもの、なので1貫に対して2枚付け3枚付けで握ります。
以前、前述の寿司清で2枚付けを食べたことがあり、そのときもかなり小さいと思ったもの、3枚付け、4枚付けなんてどんな手間なんだろう?・・・と思っていたところにこの6枚付けですよ!
この親指くらいしかない新子を開いて寿司にしようなどと・・・いきなりやられてしまいました。
青物ですが癖がなく塩加減、酢締めの加減が絶妙で、さらりと口の中で溶けて行きます。
そうそう、この一貫目で別の意味で驚いたのがシャリ。ほんのり温かい人肌、寿司のシャリというと冷たいイメージが強いのですが、実は人の味覚というのは温度も関係していて、人肌辺り、30~40℃くらいの温度が一番敏感に旨みを感じるのだそうです。
こちらのお店のシャリは炭火の釜で炊かれ、さらに木製のおひつをわらで作った○○で保温されています。
この木と藁のコンビネーションで最高の状態で作られたシャリは一定の温度を保ちつつ適度に保湿、適度に水分を逃がして、品質を保つのですね。
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さて、いろいろ驚きの一貫目で度肝を抜かれたところで次に迎えるは真子鰈。
平目と比べて下に見られがちな鰈ですが、冬場旬を迎える平目に対して、鰈は春から夏が美味しい時期。
さっぱりして歯切れがよい中にほんの少し癖のあるのが鰈の特徴。
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そして出てきた、鰈の昆布締め。
先に生の鰈を出しておいて跡から昆布締めを出すとはニクイ!
昆布締めというとしっかり昆布の味が染みて、素材を殺してしまうこともあるのですが、鰈の旨みと昆布の旨みが双方に感じられます。
これはおそらく先に生の鰈を出したことで、鰈の仄かな旨みを感じてさらに昆布をの旨みも感じることが出来たのでしょう。
これはご主人の技ありだと感動。
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続いて真烏賊。真烏賊とは俗称で実はスルメイカのこと。
年中店頭に並び価格も安いので、軽視されがちなネタですが、旬は初夏から夏にかけて。
同じく夏に旬を迎えるあおりいかなどと比べてしまいますが、こういう一息つけるネタも重要。
真烏賊(スルメイカ)も侮れないものだと見直しました。
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ここでぐっと江戸前の寿司らしくヅケ。
鮪赤身を湯通ししてたれに漬け込んだ江戸前の味!
最近ヅケを頼むと湯通しも漬け込みもあっさりしたものが多いのですが、ここはワリとしっかり漬け込む方針らしく、個人的にはかなり好み。
ただ、これだけ味付けているから、ツメは塗らなくて良いかもね。っていうのは鰈の昆布締めの時にもちょっとだけ思いました。
そうそう、寿司清もそうですが、こちらのお店も寿司に自分で醤油をつけるのではなく、醤油やみりんを煮きったツメを塗って出してくれます。
お寿司屋さんでの醤油のつけ方の薀蓄もいろいろありますが、このツメを塗って出してくれるのが、醤油をつける手間が省けるのと、醤油をつける動作がなくなるので、食べ方もシンプルにそして崩れにくくなる利点があります。
特にこちらのお店のように多少やわらかめにふんわり握るお店の寿司は、口の中でパラリとほぐれてシャリとネタが一瞬で一体化するのですが、その反面お寿司が崩れやすいので、ツメを塗ってもらうのは重要です。
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夏場に美味しいのが蛸。
通常の蛸はただ茹蛸にしたものがほとんどですが、これは番茶とあずきで煮た桜煮。
茹でる前に大根で蛸の足をバンバン叩き繊維を潰してから番茶で煮ることによって、硬い蛸の身がやわらかくなるという江戸前の技法。
面倒だけれどもさほど技術はいらず、さらに美味しくなるので、これは今度蛸釣りに行ったときに作ってみよう。
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出ました。ヅケに続く江戸前の王道、煮蛤。
シャリが見えないほどの大きな蛤は殻つきの時はどんなに大きかったのでしょう。
ホームページを見ると産地は時期ごとに良いところを選んで仕入れているそうですが、この時期だと九十九里辺りですかね?
そうそう、先ほどツメの話が出ましたが、こちらの煮蛤には砂糖やみりんを多めにつかって多少ねっとり感のある甘ツメを使っています。
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ジャジャ~~ン!ジャジャン!!ジャジャン!!ジャジャ~~ン!!!
さてここで大トロの登場です。
これも一口でパクッ
( ´~`)モグモグ
( ゜o゜)しばし放心・・・
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実を言うと私は赤みの方、それもヅケが好きでトロはさほど自分の中で重要視していないのですが、シャリ、ネタなどの素材、そして握る技術でこうも寿司の調和が変わるのか・・・うう~~~んどうにもこの美味しさを上手く説明出来ない!!
これは実際お店で食べてみてください・・・という説明責任の放棄。
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大トロの余韻を残しつつここで、浅蜊のお味噌汁で一息。
浅蜊の殻の模様からすると木更津産の浅蜊ですかね。
寿司を邪魔しないよう、ワリと薄味のお味噌汁が染みます。
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さて後半戦の一発目は、大海老。
大海老を大き目の1貫に握ってから柳歯でストンと半分に。
注目すべきは頭と尻尾。
海老の殻を剥くときに尻尾は残して、食べるときにも残すものと思っていましたが、尻尾まで綺麗に剥いてあります。
頭も、頭を包丁で落としたりせず、手で丁寧に剥くと頭の部分にも少しだけ身が隠れているんですよね。
もちろん海老自体も味が濃くて美味しいのですが。
これを食べてしまうと、尻尾を残して、頭を包丁で切り落としている寿司屋さんは手抜きをしてるんじゃないかと思えてきます。
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ぷ~~んとお店に香ばしい草を焼くような香りが漂います。「なにかな~」と思ったらこちらの穴子。
煮穴子を笹の葉の上に乗せてから炭火で焼き、笹の葉のさわやかさを出すという工夫の一品。
煮蛤と同じ甘ツメが乗って出てきます。
握る直前で焼いた穴子はホクホク。前述の暖かい酢飯と相まって、甘く、たるくなってしまいがちな穴子を上手く締めています。
この穴子でお任せは終了。
新子に始まり穴子に終わる。江戸前寿司の王道でありました。
さて、寿司の通なら、ひとつの流れとしてごちそうさまで終わらせてしまうところですが、ここからちょっとだけお好みで2品。
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海栗はミミコ嫁の好物。
海栗はもともと江戸前には無いネタなんだそうですが、海の香りを凝縮したような海栗、シャリ、海苔の愛称は抜群だと思います。
コースに入れてほしい気もしますが、今日の流れだと・・・確かに入れるところが無いですねえ。
穴子の前?・・・後?・・いや大トロの前後?・・・そう考えると、ここに持ってくるのが一番かなあ?
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そしてこれがホントに、本当に最後。小柱・・・「なんつう前後を考えない注文」とお怒りの方もいるかもしれませんが、いや~、カウンターの向こう側の人が食べてるの美味しそうだったんだもん。
小柱はおなじみ青柳の貝柱。寿司に天ぷらに活躍する江戸前を代表する食材。ゴロゴロとした姿から「あられ」なんて呼ばれることもあります。
海栗の後にこんなさっぱりしたものもなんですが、このさっぱりをわざわざ最後に持ってくるのも悪くないかと・・・。
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最後はお茶をもらって、ご主人の颯爽とした仕事ぶりを見ながら寿司の余韻に浸ります。
まあミシュランガイドの話ばっかり持ち出すのもなんですが、正直星を持っているお店に入るのは今回が初めて。
さすがミシュラン掲載店と思わせてくれるのは味だけでなく、サービスや店全体に漂う雰囲気などからも感じられました。
おいそれと簡単にいけるお店ではありませんが、ひとつ敷居を跨いだ気がした夏の浅草観音裏。
ごちそうさまでした。
ではでは
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