前回のブログはジェフ・ベックの訃報を受けてのものだったが、そうこうしてる間に、高橋幸宏が亡くなり、トム・ヴァーラインもこの世を去り、鮎川誠まで鬼籍に入ってしまった。なんということか。仕方ない事ではあるものの、ショック大きい。謹んでご冥福をお祈り致します。
報道では、高橋幸宏については、やっばりYMOの人と紹介されていて、もちろん間違いではないのだが、個人的にはサディスティック・ミカ・バンドで彼の事を知ったので、やはりミカ・バンドの人ってイメージ。この頃既にあの独特のノリのドラミングは完成されていたのだが、YMO以降はドラマーのイメージは希薄になり、ボーカリストとしての方が知られているのだろう。それも、ファッションセンス抜群のオシャレな歌手として。ソロ活動をしつつも、ミカ・バンド再結成にも当然参加していたが、2006年の再結成時にはドラムが叩けなくなってた、という話を聞いて、やや残念な気がした。でも、確かに、いい雰囲気の歌手だよね。そういえば、以前、東京スカパラダイス・オーケストラと組んで、「Watermelon」という曲を出した事があったが、ま、フツーにシティ・ポップだった。個人的には、この曲の方が思い出深いな。
1982年頃、テレビCMで流れてるのを聴いて、シングルを買ったような。今回、改めてジャケットを見てみたら、「このレコードは、何をかくそう、スーパーニッカのCMに使われているものです」としっかり書いてある(笑) 両A面て感じで、「Are You Recieving Me」はニューロマンティック風、「And I Believe In You」がスローで壮大な曲、という印象。今聴くと、かなり時代を感じると思う(笑)
鮎川誠は、もちろんよく知ってたけど、サンハウスもシーナ&ロケッツも、ちゃんと聴いた事はない^^; ロックンロール系のバンドにはあまり興味なかった、というだけのことで、鮎川誠が嫌いとかいうのではない。むしろ、外見も含めて、キャラを上手く作ってしまったというのは凄い事と思う。それを利用しながら活動を続けてきたと言えるのではないかな。バンドでやってるのは割にシンプルなロックンロールだったけど、実は色々なポップ・ミュージックに造詣が深く、当時僕が愛読していたFMfanという雑誌の、ビルボードの最新チャートを見ながらあれこれ喋る、というコーナーを担当してて、実に色々な事(歌手だけでなく、プロデューサーやセッション・ミュージシャンも含めて)に詳しく、毎回貴重な蘊蓄を披露してくれたので、とても勉強になった。
前述した通り、シーナ&ロケッツはあまり興味なかったので、手持ちのレコードもほとんどない。唯一持ってたのがこの「Lemon Tea」である。当時も今も、これを聴く度に思うのだが、誰が聴いてもこの曲「Train Kept A Rollin'」だよね(笑) 作曲クレジットは鮎川誠になってて、オリジナルという事にしてるのだが、よく問題にならなかったもんだ。ネットとかない時代だったからかな(違うと思う) ま、確かに、ノリもスピード感も申し分ない名曲ではあるのだが...^^; 日本語の歌詞がちょいとエロティックに感じるのだが、こういうのも問題なかったのかな? SNSとか存在してなかったからか(だから違うって)
というわけで、お二人とも、安らかにお眠り下さい。
で、いきなりだが、最近買ったCDから。
If You're Feeling Sinister/Belle And Sebastian
最近、個人的には90年代に再び興味を覚えてまして(笑)、聴くのもジャンル問わず90年代物が多かったりするし、BSで『101回目のプロポーズ』の再放送見てたりなんかしてる(爆) 不思議なことに、音楽にせよドラマにせよ風俗にせよ、90年代物って80年代物ほど時代を感じる事が少ない。つまり、古臭く感じない、という事なんだが、90年代初頭バブルがはじけ、高度成長の頃からイケイケで常に前だけを向いて突き進んできた日本及び日本人が、いきなりストップをかけられたような時代、空白の10年とか言われて、経済成長が止まってしまった時代、実際1997年に30代から50代の、働いて消費する世代人口がピークとなり、それからずっと減少し続けている、というのもあって、何かこう、停滞しているような空気があった時代、この頃生まれた物(事)って、決してバブリーではなく、新しいんだけど、地に足のついたというか、堅実というか、冒険はせず確実に実利を取るというか、そういうのが主流だったような感じもあって、それが現在に至るまで変わってないので、結果として古く感じないのかな、なんて思ったりもするのだが、まぁたぶん、そういう事ではないのだろう(爆)
で、ベル・アンド・セバスチャン(以下ベルセバ)である。これは、1996年発表の2作目でメジャー第一弾であるらしい。このバンドの事は知ってたけど、音を聴くのは初めて。例の、レココレの90年代ベスト・アルバム200選にランクインしてて、興味を覚えたのだ。で聴いてみると、意外に60年代的な感触だったので驚いた。ちょっとサイケな感じもあって、ザ・フーとか思い出してしまったね。僕は60年代はリアルタイムで知らない(物心ついてない)ので、懐かしいという感覚はなく、あの頃の音を今再現してる、という感じ。ただ、それが古臭くなかったのが90年代の不思議なとこで、ジャンルは違うが、僕はシェリル・クロウ、パール・ジャム、ブルース・トラベラーといった当時のオルタナ系に、同じ事を感じていた。ベルセバも、そういう点では似てる。当時、既に30を超えていた僕がそう感じたくらいだから、当時の若者たちは、もっと新鮮に感じたのではなかろうか。一時的な流行より普遍性を重視した音楽。それが90年代には先端であったのだ。
このベルセバ、これまた90年代には多く見られたけど、中心人物が一人いて、他のメンバーは流動的らしく、ま、要するにソロ・プロジェクトみたいな感じかな。こういう形態の方が、音楽性を守り抜いていくには良いのかも。アルバム制作だツアーだと周囲の意向に振り回される事も少ないだろうし。
僕個人の印象だと、90年代以降、ミュージシャン達のアルバム発表のサイクルが長くなったと思っていて、じっくりと作品を練り上げて満足いくまで時間をかける、というのが当たり前になってきたという事だろうし、以前であればレコード会社の意向とかもあって、短期間でアルバムを仕上げざるを得なかったのが、メジャーなレコード会社に所属しなくてもレコード制作が可能になった、というのもあり、ミュージシャンたちが主体的に活動出来る条件が整った訳で、結果、寡作なミュージシャンが増えた。ファンも移り気ではなくなったし、そういう意味でも90年代は、実は色々な変化・改革があったのだ。
という訳で、ベルセバにはあまり触れてないね(笑) 60年代の音楽を連想する、と前述したが、派手ではないが、じわじわと来るタイプなのではないかと思っている。気がつくと、またCDに手を伸ばしているような。こんな音楽が出てきたのも90年代の特徴ではないかな。
90年代も遠くなってしまった...