卍の城物語

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津軽に眠る名宝展

2010-12-29 01:26:25 | 美術鑑賞
弘前城築城400年祭記念事業「津軽に眠る名宝展」@弘前市博物館!!

ま、築城400年は来年なんですが、年を跨いでの企画展の期間になってます。

最近の弘前市博物館は結構面白そうな企画展を行ってます。
いや、以前からやってただろうが、個人的な趣味が変わってきただけとの事か。


そんなわけで平日の15時頃にお邪魔する。

企画展だから800円くらい取られるのかな?と思ってたらなんと!常設展の料金280円ポッキリ!!激安な入館料です。
激安かどうかはこれからわかるのであるが、さっそく中へ。


まずは常設展「津軽の歴史展」です。
津軽藩の歴史や代々藩主の掛軸や、纏わる品々などある。
津軽代々の藩主は芸の才も持ち合わせていたようである。

個人的に興味深かったのは「悪戸焼」があった事か。
何せ悪戸に住んでいるのだから。ま、悪戸焼の窯は下湯口にあったのだけれどね。
今は無き悪戸焼に、陶器の美しさを知る。


中盤は「津軽の刀工展」である。
いわゆる日本刀が多数展示されている。

刀は長さによって名称が違うが、やっぱり太刀が一番カッコいいね。
刀は芸術的価値も持ち合わせているから、観賞にも向いている武器である。


そしてメインの「津軽に眠る名宝展」が終盤に待ち受ける。
弘前市博物館のコレクションに加え、寺院や個人収蔵の掛軸や屏風などが展示されている。

花鳥図が数点あるが、こういった日本的な構築美やモチーフは年のせいか年々好きになってきた。


そしてホールには何と、尾形光琳の国宝「紅白梅図屏風」が展示してます!!!
ま、複製なんですけどね。

意外と知られていないが、あの日本絵画を代表する尾形光琳の傑作中の傑作「紅白梅図屏風」はもともと弘前城所蔵の屏風です。 

ま、藩の財政が逼迫して売り払っちゃったんだろうが、実に惜しい事をしたもんである。
現在はMOA美術館が所蔵している(MOAって何よ、日本のくせして)。

せっかくだから本物レンタルして来いよ!!と誰もが思うところである。そもそも弘前城にあったんだから。
でも弘前市博物館レベルじゃ無理なのかな?だって国宝だし。


余談だけれど、クリムトの絵画の多くは日本画に影響されているが、中でも尾形光琳の影響は高いらしい。
代表作「ダナエ」のケツがブリンってなってる曲線は「紅白梅図屏風」の川の部分に影響されたとの事。


そんなわけで、あまり観賞せずに次へ。

特別展示室には4点の屏風が畳の上に飾ってある。
ま、屏風だからそもそも和室に飾ってあっただろうが、コンクリートの上に畳み敷いてあるから違和感極まりない展示方法ではある。

ここで一際輝くのは弘前の報恩寺所蔵・毛内雲林の「雲龍図・老子出関図屏風」である。
墨のみで書かれたモノトーンの南画であるが、迫力が物凄い。

龍の堂々たる存在感、雲海のダイナミズム、そして老子の緻密な描写、牛の荒々しさ、竹林の野生さ、どれをとっても見事な筆使いに心を奪われる。

他にもいろいろあるが、これだけ観にくるだけでも価値はある。


そんなわけで、意外と楽しめた。
これで280円はお得、とお金の事をいったら下世話だが、やっぱりお得である。

会期は来年もあるし、何と年末年始も開催中との事。
いつもヤル気ない博物館が、来年の弘前城築城400年を記念してはりきってます。

日本画が好きな人は気構えずにふらっと立ち寄ってみてはいかがかしら?

   
 (※展示されているのは複製であり、本物↑は展示されていません)


会期・1月31日まで
開館時間・9:30~16:30
休館日・月曜日(1月3日・10日は開館 、11日は休館)