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Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

うの華 150

2020-02-05 11:41:51 | 日記

 申し訳ないねぇ。祖母は言った。

「もうお前の言う事ばかり聞いている訳にも行かなくなってしまってね。」

彼女はそう言うと、

「さっきお前に言った事、あれね、ねえさんの事は間違いじゃないからね。」

と、さらさらっと言うと、祖母は再度彼女に驚かされた私の、如何にも呆気に取られたポカンとした顔を見詰め直して、ふふんと声に出して笑うと、心得たと言わんばかりのニヒルな笑いをその顔と口に浮かべた。

 「顔に出るんだよ。人間、顔色という物を読まないとね。」

祖母は言った。大人は如何でも、子供は分かり易いものでね。そう私に言うと、彼女はせいのと元気よく立ち上がった。そんな彼女は活気が有り、年齢を感じさせ無い勢いがあった。祖母は私の傍から離れ、母の元へと近付いて行った。

 「済まないねぇ、ねえさん。」

そう祖母は母への詫びの言葉を口にした。てっきりお前さんが子供に手を上げたと思ってねと、繰り返し謝罪している様子の祖母だった。

 対して母は、いえいえと、笑顔で愛想よく祖母に答えを返している様子だ。嫁姑、祖母のどんな言葉に母が如何答えていたものか、2人の遣り取りは全く私の耳元迄届いて来なかった。私と2人の間にそれなりの距離が開いていたからだった。

 1人になった私は何時しか立ち上がり、縁先で孤独を噛みしめていた。私は何時もと違う祖母の雰囲気に出会い、ぼんやりと彼女達の様子を眺めていた。と、祖母の背が一瞬びくっと驚愕した。何だろう?と、私は思ったが、彼女達から離れた場所にいた私には、それ以上2人の遣り取りを想像する事が出来なかった。

 その内、再び祖母はその顔に沈んだ様な緊張した様な面持ちを浮かべると、廊下の入り口近くで立ち竦んだ儘自分達を見詰めている、孫の私の傍へと近付いて来た。

「智ちゃん、眠いんだってね。」

祖母は私に尋ねる様に言った。

「2階に行って眠るといいよ。」

祖母はまるで私に許可でもする様な感じでこう言った。

 眠い?母もそんな事を言っていたがと、私は大人達が皆私の眠気の事を口にするのを怪訝に思ったが、続けて祖母が言った「これ以上ここにいるとお前嫌な物を見る事になるよ。」という言葉に、不穏な物を感じ取るとハッとした。

 私は祖母に言われる儘に、空かさず廊下へと飛び出ると、すたすたと廊下を急ぎ、居間から階段のある部屋、階段へと足を運んだ。階段を2階に駆け上がる迄、私はなるべく足音を高くして、余計な物音を自分の耳に入れまいと努めた。


うの華 149

2020-02-05 11:02:31 | 日記

 「ねさんに悪い事をした。」

そう祖母は呟いた。

 廊下への出口に近く、その儘静止した彼女は陰りを帯びて寂しそうだった。私が見詰める中、祖母は間を開けて再び私の傍に寄って来た。彼女は私の頬を再度眺める為に戻って来たのだ。

 祖母は事実を再確認したかったのだろう。念には念を入れないと、彼女は小さく呟いた。姑になるのも最初じゃないからね。そんな言葉を私に向けてほっそりと言った。そして彼女は前よりもさらに念入りに私の両頬を観察しだした。

 「両方共だね?。」

「お前は両方の頬を自分で叩いたんだね。」

こう繰り返し、祖母は私に確認した。

 この頃になると、祖母は彼女の頬に苦笑い等浮かべ、落ち着いて物事に対処している様に私の目には映った。祖母のこれ等の行為の目的等、さっぱり皆無、思い当たる事の無い私は、彼女にされるがままで無心に彼女の顔ばかりを眺めていた。

 祖母の観察は終わったようだ。彼女は私の顔から自分の指を外すと、やや煩悶するような困った表情でいた。それは後悔の念を表している表情に私には思われた。何故なら、私が彼女の観察中、彼女と同様に、彼女が縁に姿を現してから今迄の彼女の言動を考え併せてみて、彼女の今の立場に薄々気付いていたからかもしれない。『祖母は自分の間違いに気付いて困っているのだ。』私は思った。そう思うと祖母が気の毒に思えた。

 さっきも祖母は間違えていたんじゃないかな。私は思った。私が帰宅した時の祖母の事だ。間違えていたから母の事をああ褒めて言ったのだろう。そう私が独り合点して頷くと、祖母はそれを見ていて曖昧な笑いを浮かべた。

 私から身を引いて、縁側にちんまりと座り込んだ祖母はどちらかと言うと困惑よりホッとした有様で、顔には安堵した表情を浮かべていた。彼女の中で事件は一件落着した様だ、安らいだ感じになって落ち着いた居住まいをしていた。


今日の思い出を振り返って見る

2020-02-05 10:59:58 | 日記
 
ダンスは愉し 12

 会場の外に出ると、世話役の男子学生の1人が彼女達の後を追って出て来ました。「その辺まで送って行くよ。」彼は言うと、にこやかに愛想のよい笑顔を作り、やはりそんな彼ににこやか......
 

 いよいよ平野部でも雪になりそうな予報です。今週は寒そうです。今現在は、冷たい雨が降っています。