今週も終り間近か、来週で全部終わり、「あまちゃん」のことです。始りあれ
ば終りあり、で当然ですがちょと寂しい。今夜の月を脇に置いてこんな本を開
きました。 『北限の海女』 (亜紀書房・2013・7刊)という本です。
写真は表紙の表裏、B5版です。その2、3頁の見開きが下の写真です。
この3頁の写真の海女さんは、アキちゃんユイちゃんではありません。「復
刻版」とあるように「北三陸史窓」という1990年6月刊の郷土史誌、23年前
の「北限の海女」ちゃんです。
この本の内容は二部構成、第1部が復刻版『ルーツ 北限の海女』、第2部
に「海女の暮らしと観光 ラジオドラマからテレビドラマへ」 として、昭和34
(1959)年放送のNHKラジオドラマ「北限の海女」(脚本水木洋子)をはじめ、
2009年に「かわいすぎる海女さん」と話題になった高校生海女などが紹介
され、今度の「あまちゃん」紹介の頁へとつながっています。
第1部の「小袖の海女が語る」(平成二年二月聞き取り)で古老(72歳・
64歳)の海女が話しています。
「わたしの父は、大和丸で遭難して亡くなった時、私は十三才でした。~
わたしと同じように、この小袖では男親を、海で失った人が多く住んでいます。
だから子どものころから苦労をし、働かなければなりませんでした。~小学校
を卒えれば、早々に嫁に行ったものです。わたしも十六才で…、あんたは十七
才の数え年でしたか。
嫁にいくといっても、夫はいなんですよ。徴用であったり召集でいってる夫、
それに遥か遠くの外洋で出漁している人の家です。~まあ考えてみますと、
結婚ではあるが、それよりも不在となった漁師の家の、働き手を補充しなけ
れば、という意味があったと思うのです」
「これでおしまいか!と思ったことは何回もありますよ。 息をつめて根かぎり、
耐えに耐えての仕事なもんですから、最後の“ふなばり”への用心が必要な
んです。“ふなばり”とは、海の底の獲物をヤッカリに入れて、重くなった自分の
体もろともに、岩場を強く踏むことをいうんです。その弾みで一気に海面に顔
を出すわけです。
ウニでも、アワビでも昆布や若布の繁みによくいるものですよ。ところが欲
ばってその中に入って、昆布が絡る若布が絡る。藻草が絡ることもあるんです。
もがいても取り払おうとするがなかなかもんで、だんだん息が苦しくなってくる。
これで終わりかな!と思うことがあるんです。
海底の岩場で、体がようやく入るような穴場によく獲物がいるんです。体を横に
するようにして入り込み、おもしろい程獲物を採っても、いざ抜け出す時に苦労
するんです。ほんとう死ぬ思いをするものですよ。」
ドラマではありますが、「あまちゃん」に出てくる海女さんたちのエネルギーの
元には、こんな歴史が堆積しているのです。