『地名俳句歳時記』の「鹿児島」に俳句とともに紹介されている地名は32なのですが、そのうち「薩摩」と「大隈」は旧国名としてですので全体で29の地名となります。それをGoogleマップの上に☆印で落としてみました。
前々回の「てんがらもんラジオ」でガイドの向井さんが「鹿児島県は南北600キロ」と言ってましたがそれが実感できます。600キロを直線で北東に伸ばしますと四国を越え淡路島の先、神戸大阪に至ります。その間に隣の宮崎県、四国では高知県徳島県の2県を通り兵庫県大阪府です。4つ5つくらいの県を通る距離が600キロです。
『地名俳句歳時記』が紹介している島について触れておきます。
「甑こしき島」県西部、薩摩川内市。串木野市沖約40キロにある甑島列島のうち主な上甑島・中甑島・下甑島の総称。平家落人の島ともいわれる。全島に鹿の子百合が自生する。
台風や屋根に網張る甑島 桐野文子
「種子島」西之表市と熊毛郡中種子島町・南種子島町。佐多岬の南40キロにある薩南諸島北部の主島。鉄砲伝来の島として名高い。甘藷・砂糖黍の生産地。伊勢海老など海産物も豊富。
種子島雲と伏しゐる菊日和 米谷静ニ
種子島どこも昼顔なだれ咲き 柿並その子
「屋久島」熊毛郡上屋久町・屋久町。種子島の西20キロにある薩南諸島北部にある島。中央に宮之浦岳がそびえ、降水量が多い。南岸に尾之間温泉・平内海中温泉がある。
屋久島や茅花流しの海の色 小坂順子
屋久島の北斗の近し秋の夜 寺島とし重
「八重岳」熊毛郡上屋久町・屋久町。屋久島中央部にある九州最高峰の宮之浦岳(1936m)を中心とする諸峰の総称。宮之浦岳には中腹に樹齢3000年以上の屋久杉がある。
こぞり立つ屋久の八重岳青嵐 岡田日郎
屋久杉の化石の如き肌の冷え 三好潤子
「硫黄島」鹿児島郡三島村。種子島の西方海上にある火山島。平安時代に俊寛ら三人が流された鬼界島はこの島だとされ、俊寛の墓や写経石がある。海岸に東温泉・坂元温泉がある。
硫黄島おどろに夏のかなぐもり 辺見京子
砂糖黍植うる鬼界ヶ島晴れて 河野照子
「吐噶喇とから列島」鹿児島郡十島村。薩南諸島中央部にある火山列島。旧称宝七島。口之島・中之島・臥蛇島・平島・悪石島・小宝島・宝島など。宝島は珊瑚礁が美しい。
夕立後の日矢まっすぐや宝島 福永耕ニ
「奄美大島」大島郡。奄美諸島最大の島。沖縄・佐渡につぐ大きな島。中心の名瀬市は蘇鉄・阿檀・榕樹ガジュマルなどの亜熱帯植物と大島紬・ハブ・奄美黒兎・マングースの生息地として知られる。旧八月十五日前後は全島あげて八月踊に興ずる。
初荷着く奄美の島の砂糖菓子 池田 英
指笛を鳴らし八月踊りかな 橋元コト
「沖永良部島」大島郡和泊町・和名町。奄美諸島の南部、徳之島南西32キロにある島。永良部百合・フリージアの栽培で知られる。島の西部に多くの鍾乳洞がある。
庇より高く永良部の仏桑花 藤村一樹
永良部百合芽立つ潮騒遠くあり 山之内赫子
「与論島」大島与論島。奄美諸島最南端の隆起珊瑚礁からなる島。高台にある与論城跡、赤崎の鍾乳洞、百合ヶ丘のキャンプ・海水浴場がある。
春寒き波しぶき見る与論島 今村柳枝
与論島までつながりし鰯雲 桑田青虎
注: 各地の行政区は出版時の平成十七年五月末現です。