真田丸第30回「黄昏」これは「たそがれ」なのだが音読みだとなんと読むのでしょうか、「こうこん」でしょう。「たそがれ」と口にすると映画「黄昏」を思い出します、といっても観てはいないのですが、キャサリン・ヘップバーンとヘンリー・フオンダの顔のポスターが浮かびます。
今夜の真田丸の「黄昏」はそんな静かな黄昏ではありません。豪華絢爛の花見の場で、その五ヶ月後には死んでしまう当時の最高権力者が桜の樹から落ちるという場面ですから。孫の年齢といえる我が子を喜ばせようと、桜の樹に登り「枯れ木に花を咲かせよう」と花びらを撒くという場面、足をかけた枝が折れる、猿も木から落ちるという図でもあります。
こんなところは今夜の主要な場面ではないでしょうし、実際にも落ちたのでしょうか、落ちなかったのでしょうか、当時の記録には、
「今日太閤秀吉が(醍醐寺に)お渡りになられた。(淀公や北政所を始めとする)「女中」らもおのおのお成りになり、終日桜を御覧になられた。路次や茶屋などの贅を尽くしたあり様は、言葉では言い尽くしがたいほどである。何の問題もなく、無事に(太閤たちは)お帰りになられた。」
とあるそうです。詳しくはこちらのサイトで、
https://www.daigoji.or.jp/archives/special_article/index.html
この記録は醍醐寺側のものですから、たとえ落ちたとしても「無為に還御せられ」ということになるでしょう。
何れにしてももう一度老いの身「枯れ木」に「花を咲かせよう」という思いもあったであろう場面は栄枯盛衰盛者必衰の理りを象徴する場面になってしまいました。庶民の黄昏と権力者の黄昏、その違いを見せてくれた場面でもありました。