碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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TBS「賞金2000万円」クイズのビンボーくささ

2012年11月07日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

日刊ゲンダイに連載している番組時評「TV見るべきものは!!」。

今週は、TBS「2000万円落下クイズ!マネードロップ」を取り上げました。


安易な輸入番組のうえ
デキも中途半端では・・・

先週、TBSの水トク!「2000万円落下クイズ!マネードロップ」が、ユースケ・サンタマリアの司会で放送された。元々は海外の番組であり、「フォーマット」と呼ばれる番組の企画・構成を買い付けて制作した。

この番組の特徴は賞金2千万円をいきなり挑戦者に渡してしまうことだ。全問正解なら賞金を持ち帰ることができる。途中で間違えたら、目の前の現金が奈落の底に落ちていく仕掛けだ。だから、マネードロップ。

千原兄弟などの芸能人ペアが挑戦者で、問題は「ギネスブックに世界で最も栄養価の低い野菜として認定されているのは?」。キャベツ、キュウリ、ホウレンソウからの3択で、正解はキュウリ。はっきり言って小学生レベルの内容だ。

そもそも芸能人たちは出演料をもらって番組に出ている。この上、この程度のクイズで2千万円をゲットされたら、視聴者はまじめに働くのがイヤになるだろう。

さらに現金をわざと落下させるという“これ見よがし”の演出が日本人に合っているかどうかも疑問だ。

しかも、1万円札で札束を作ると数が少なくて迫力不足と考えたらしく、なんと千円札を使って札束を“増量”しているのが何ともビンボーくさい。

アイデア不足、企画の枯渇から安易な輸入に頼った上、この中途半端な出来では、恥の上塗りと言われても仕方ない。

(日刊ゲンダイ 2012.11.06)