碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

「ソフィア文学館」撮影快調!?

2012年11月21日 | 大学

実習授業「テレビ制作Ⅰ」。

グループに分かれて、「ソフィア文学館」の映像制作を進めています。

あるチームが取り上げたのは、芥川龍之介の「藪の中」。

この作品を現代に移し替えました。

ひとつの事件をめぐる、複数の関係者たちの証言が、微妙にズレていきます。













“女優さん”もまた、チームの中の学生たちですが、なかなかの熱演でした。

果たして、どんな仕上がりになるのか(笑)。

CONTAXな夜

2012年11月20日 | 映画・ビデオ・映像

気がつけば、このところ漱石だけじゃなく(笑)、古いカメラにもハマっていて。

元々写真は、見るのも撮るのも大好きです。

何しろ高校時代は写真研究会(のちに写真部に昇格)に所属していて、よく暗室にこもっておりました。

それ以降も、機材がデジタルになろうが、カメラとの付き合いが途切れたことはない。

今も毎日、鞄の中にカメラを入れている。

で、最近は古いのを、たて続けに3台、入手してしまった(やばいなあ)。

その中の1台が、フィルムカメラの「CONTAX(コンタックス)G1」

京セラが、1994年から2年後の96年まで生産していました。

発売当時は、この高級機というか高額機を、もちろん購入できるはずもなく。

今、こうして手にしてみると、そのずっしりくる重さと共に、いかにも“機械”という感触が好ましく、深夜、持ったり、置いたりしています。

ただし、レンズがない(笑)。

レンズは、たぶん、このボディよりも高額のはず。

「でも、ま、いいや」ってんで、原稿書きの合間に取り出しては、レンズのないカメラのファインダーをのぞき込んだりしております。

バカだねえ(苦笑)。

今週の「読んで、書評を書いた本」 2012.11.19

2012年11月19日 | 書評した本たち

このところ、夏目漱石が気になって、関係の本をあれこれと読んでいます。

理由は、よくわかりません(笑)。






そして、最新の一冊が、森まゆみ『千駄木の漱石』(筑摩書房)だ。

夏目漱石が東京・千駄木で暮らしたのは、英国留学から戻った直後の明治36年から、日露戦争をはさんで39年の年末まで。

東京帝国大学や第一高等学校の教壇に立ちながら、徐々に作家へと移行していく時期だ。この間に書いたのが『吾輩は猫である』『坊ちゃん』『草枕』などである。

著者は漱石を自らの故郷に迎えた“隣人”の如く、その軌跡を丁寧に追っていく。

借家だった住居の歴史。生真面目に準備された講義。帝大での学生たちとの軋轢。寺田寅彦など弟子たちとの交流。そして家庭における夫や父としての漱石。

中でも興味を引くのが、小説『道草』で描かれた人間模様と、漱石とその周辺にいる実在の人々との重なり具合。作品は実在の姉、兄、妻、養父などとの確執を浮き彫りにしているのだ。

著者は『吾輩は猫である』を滑稽小説にして近隣憎悪小説、また『道草』を心理小説にして近親憎悪小説と呼んでいるが、卓見である。

さらに本書では、妻である鏡子との“せめぎ合い”も読みどころの一つだ。神経質で夢見がちな夫とヒステリーの妻がいる環境から、なぜいくつもの名作が生まれたのか。

「僕は世の中を一大修羅場と心得ている」という漱石自身の言葉が実に味わい深い。



さて、今週の「読んで、書評を書いた本」は、以下の通りです。

マブルーク・ラシュディ 中島さおり:訳『郊外少年マリク』 
集英社

本城雅人 『希望の獅子』 
講談社

園 子温(その・しおん)『非道に生きる』
朝日出版社

大橋博之 『SF挿絵画家の時代』 
本の雑誌社

大野左紀子『アート・ヒステリー』
河出書房新社

斎藤貴男 『私がケータイを持たない理由』 
祥伝社新書


・・・・私は、ケータイは持っていますが、ケータイ・メールはしていません。

ブログはこうしてやっていますが、フェイスブックも、ツイッターもやっていません。

自分なりの理由は、明確にあります。

斎藤さんの『私がケータイ・・・』に関しても、かなり共感多し、です(笑)。


* 上記の本の書評は、
  発売中の『週刊新潮』(11月22日号)
  ブックス欄に掲載されています。


信州・松本で

2012年11月18日 | 日々雑感

特急あずさで、信州・松本へ。

岳父(家内の父親ですね)の「米寿(88歳)のお祝い」を、浅間温泉の旅館で行った。

88歳で目出度いのはもちろん、すこぶる健康かつ元気なことが、本当に目出度い。





子供たちはもちろん、孫たちも全員集合で大宴会、そして1泊。

温泉(露天風呂あり)に2度入る。ゼイタクじゃ。

高校生の息子が背中を流してくれた。これもゼイタク?(笑)







帰り道、市内の四柱神社で、あれこれ祈願(笑)。

高校時代、この神社の隣にあった鶴林堂書店に、ほぼ毎日寄っていたのだが、今はもうない。残念だ。

駅へ向かう途中、高見書店で、“アンコール復刊”の岩波新書2冊。

桑原武夫「一日一言」と、脇圭平「知識人と政治~ドイツ・1914~1933」




続いて、隣接する古書の慶林堂へ。

ご主人にご挨拶。

島崎藤村から平林たい子、丸山健二、そして臼井吉見「安曇野」「獅子座」など、信州にゆかりの作家や作品が並んでいるのは、さすがだ。







ここで3冊入手。

サマセット・モーム「人生と文學」は昭和34年の初版本だ。

50年以上前の本を、こうして手にとって読めるのは嬉しい。

以前、文庫本で読んだ相倉久人「現代ジャズの視点」は昭和49年の初版本。

栗村政昭「ジャズ・レコード・ブック」が昭和50年の改定新版で、これまで読んだことがなかった。














新宿行きの電車の中から富士山が見えた。

やはり美しい。

なんだか、少し得した気分でした(笑)。




見かけた看板

2012年11月17日 | クルマ

クルマで走っていて、ふと見かけた中古車屋さんの看板。

「この価格なら、小学生でも現金で買える」

って、おいおい、いくらなんでもそりゃ無理だろう(笑)。

秋の「テレビ制作」、進行中

2012年11月16日 | テレビ・ラジオ・メディア

実習授業「テレビ制作Ⅰ」。

秋の全体テーマは、「ソフィア文学館」だ。

ひとりの作家とひとつの文学作品をモチーフにした、ユニークな“文学番組”。

各グループによる制作作業、ただいま進行中です。

進み具合に幅はあるけど(笑)。







先々週、先週の「読んで、書評を書いた本」

2012年11月16日 | 書評した本たち

木内昇『ある男』(文藝春秋)をじっくりと読んだ。

舞台は明治時代初期。諸藩がそれぞれ“国”だったものが、いきなり中央政府が統括する国家となった。そこに生じる無理や矛盾を背負わされたのは地方の人々だ。

直木賞作家が4年ぶりに送り出すこの短編集は、7人の無名の男たちを通して描く歴史の軋みである。

巻頭の「蝉」では、南部の銅山で働く金工(かなこ・鉱山労働者)が東京へと向かう。政府の要職にある井上馨に会うためだった。男たちの生きる場である銅山を、自らの利権のために奪う極悪人。男が命がけの直訴の果てに見たものは。

「実は、紙幣を、造っていただきたいのです」と懇願されるのは、引退を決意した老細工師だ。相手は新政府の転覆を企てる一党。依頼された贋金はその軍資金となるという。男は彼らを指導しながら仕事を進めるが、職人としてどうしても譲れない一線があった(「一両札」)。

他に、中央からやってきた県知事と地元住民との軋轢に翻弄される地役人(「女の面」)。福島県令・三島通庸が押し付ける重い税負担に怒る農民たち。それを抑える男はかつての京都見廻組だった(「道理」)。

いずれも時代の変わり目に遭遇した男たちの悲惨にして滑稽、重厚にして軽妙な物語が楽しめる。



先々週、先週の「読んで、書評を書いた本」は、以下の通りです。

五十嵐恵邦 
『敗戦と戦後のあいだで~遅れて帰りし者たち』 筑摩書房

柳 美里
『沈黙より軽い言葉を発するなかれ~柳美里対談集』 創出版

逢坂剛・川本三郎
『さらば愛しきサスペンス映画』 七つ森書館

一橋文哉
『となりの闇社会~まさかあの人が「暴力団」?』 PHP新書


* 上記の本の書評は、
  『週刊新潮』(11月08日号/11月15日号)
  ブックス欄に掲載されました。

あの愛すべき「ハコ(BOX)」をめぐって・・・・

2012年11月15日 | 「東京新聞」に連載したコラム

東京新聞に連載中のコラム「言いたい放談」。

今回は、ついつい入手したくなる、あの「ハコ」をめぐって書いています(笑)。


わが家の箱モノ行政

ケンカの火種は“箱モノ”である。以前から多くの批判を受けていた。政敵はこれ以上箱モノが増えることを拒否し、現存するものも仕分けが検討されていた。そこを強行突破したのだから、もめるのは当然だ。

新たに登場した箱モノの名は「007製作50周年記念版ブルーレイBOX」。第一作「ドクター・ノオ」から第二十二作「007/慰めの報酬」までの全作に加え、特典映像や豪華収納ケースも付いている。中学時代からこのシリーズを見続けてきた者として入手は当然だった。

しかし、あちらの主張も一理ある。箱モノとしては、すでに「スター・ウォーズ」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「ゴッドファーザー」などが山積みだ。しかも、いずれのシリーズもすべてVHSと普通のDVDを持っており、それで十分ではないかと言うのだ。「おっしゃる通り。確かに必要性はない。だが必然性はある」などと答弁するので、また集中砲火だ。

ついに最後の弁明。いいかい、私が大富豪だと想像してごらん。そして映画会社に私だけのために二十二本の007映画を発注する。請求書の数字は恐らく天文学的だろう。ところがこのBOXはまさにそれを実現したのだよ、このわずかな予算でね。

いや、もちろんこれで政敵が納得するはずもなく、我が家の箱モノ行政をめぐる攻防は今も続いている。

(東京新聞 2012.11.14)

70万人の皆さんに、感謝です

2012年11月15日 | テレビ・ラジオ・メディア

この「碓井広義ブログ」の訪問者が、トータルで70万人を超えました。

ありがとうございます。

開設は2008年4月。

以来、毎日何人かの方が読んでくださって、その集積が70万。

やはり、なんだか、すごいです(笑)。

アクセス総数の277万と併せて、感謝いたします。


授業のゲストに、映画「その夜の侍」藤村恵子プロデューサー

2012年11月14日 | 映画・ビデオ・映像

今日の「メディアと文化(大衆文化論)」の授業は、ゲストレクチャー
でした。

来ていただいたのは、プロデューサーの藤村恵子さん(テレビマン
ユニオン)。

私が在籍していた頃は、「地球ZOGZAG」「世界ウルルン滞在記」
などを手掛けていて、頼れる“ウルルンの母”(笑)と呼ばれておりました。

2005年くらいからは映画プロデューサーとしても活躍。

最新作が、今週末17日(土)公開の「その夜の侍」です。

劇団「THE SHAMPOO HAT」の赤堀雅秋が作・演出・主演を手掛けた戯曲を、彼自らの演出で映画化したヒューマンドラマ。ひき逃げ事件の犠牲になった妻の復讐(ふくしゅう)に燃える男と、その事件の犯人で刑務所から出てきた男の対峙(たいじ)を、重厚なタッチで紡ぎ出す。堺雅人が復讐(ふくしゅう)の機会をうかがいつつも、良心の呵責(かしゃく)にさいなまれる男を熱演。また、山田孝之が、粗暴と孤独を併せ持つひき逃げ犯を演じ切る。人間の残酷さと狂気、そこから生まれるかなしさを深くえぐった深遠なテーマも見逃せない。






教室では、ご本人の希望で私も登壇しての公開インタビュー形式としました。

学生時代のこと、社会人になってからの仕事、放送業界への転身、テレビマンユニオンへの参加、「ウルルン」制作の裏側、そして映画へ・・・。

「スクールデイズ」「シーサイドモーテル」「がんばっぺ、フラガール」「宇宙兄弟」「その夜の侍」と、具体的な作品をめぐって、とても率直にその体験を語ってくださいました。

受講者は女子学生が多いのですが、この有能な女性プロデューサーの話に、皆、興味しんしん。

かなり刺激になったようで、ふだんの授業よりも熱心に(笑)聞いていました。


藤村さん、ありがとうございました。

「その夜の侍」が、たくさんの人に届くよう、祈っております。


「NO」と言えるヒロインの魅力 テレ朝「ドクターX」

2012年11月14日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

日刊ゲンダイに連載している番組時評 「TV見るべきものは!!」。

今週は、テレ朝の「ドクターX」について書きました。

現在快進撃中の“米倉姐さん”の登場です(笑)。


「ドクターX」
「NO」と言えるヒロイン
米倉涼子の魅力

テレビ朝日「ドクターX~外科医・大門未知子~」が好調だ。3回目までの平均視聴率は17.9%。キムタクの「PRICELESS」(フジ)もおさえ、堂々の連ドラ1位である。何がそんなにウケているのか。

ジャンルでいえばよくある医療モノ。また珍しいとは言えないスーパードクターだ。ところがヒロインの大門(米倉涼子)には大きな特徴がある。それが「断る力」だ。

勝間和代の著書で、彼女が手のひらをぐいと突き出した「お断りポーズ」の表紙を思い出すが、米倉はもっとクールだ。

フリーランスの医師として契約外のことはしない。道理に合わないこと、納得できないことは、相手が誰であれ、はっきりと拒絶する。「NO」と言える日本(by石原慎太郎)ならぬ、「NO」と言えるヒロインなのである。

そんな米倉センセイの立居振舞いが、医師や職員に患者を「患者さま」と呼ばせ、ひたすら“集客”に励む病院の経営陣との対比もあり、見る側をスカッとさせるのだ。

その断固たる「NO」を支えるのが外科医としての超絶スキルである。先週も味覚障害を引き起こす舌咽神経鞘腫(ぜついんしんけいしょうしゅ)の難しい手術を見事に成功させていた。 

米倉の「(どんな手術も)私、失敗しないので」の決め台詞。自信を持って言える政治家が、今この国に何人いるだろう。

(日刊ゲンダイ 2012.11.14)

なぜ、ドラマ「結婚しない」の菅野美穂は、若くてキレイに    見えるのか?

2012年11月13日 | メディアでのコメント・論評

ドラマ「結婚しない」に関する日刊ゲンダイの記事。

なぜ、このドラマの中の菅野美穂は、若くてキレイに見えるのか。

それに“お答え”しております(笑)。


35歳 菅野美穂が若く見える
ドラマ「結婚しない」マル秘仕掛け

菅野美穂(35)主演の「結婚しない」(木曜22時、フジテレビ)が、話題になっている。といっても、ドラマの中身ではなく、年齢を感じさせない“美貌”について。

ちまたのOLたちが「カンノちゃんが若く見える」「カワイイ、キレイ」などとツイッターやブログで書き込み、異様な盛り上がりを見せているのだ。

タイトルどおり、ドラマは未婚がテーマ。独身女性が恋愛や仕事、
友情にもがく姿を描き、30代の葛藤を菅野が、40代を天海祐希(45)がそれぞれ代弁している。

劇中の菅野は毎回、ピンクや黄色、緑などド派手な原色の洋服を
身にまとい、頬紅も厚めにのせるなど“若作り”を徹底。

背景も花や木々に囲まれるシーンが多く、カラフルな色づかいを
意識した画面構成なのだが、菅野の表情はバラエティーやトーク
番組に出演している時よりも明らかにキレイに見えるのだ。

上智大教授の碓井広義氏(メディア論)がこう言う。

「カメラに『プロミスト』を使用しているのではないでしょうか。映画で
よく使う手法ですが、レンズの前にプロミストと呼ばれる一種のフィルターを装着すると、クッキリと鮮明な映像に仕上がります。

このドラマを撮影する川越一成氏は『踊る大捜査戦』や『テルマエ・
ロマエ』などを担当した名手。ハイビジョン時代の視聴者にどう映るかを意識し、女優や背景をより美しく見せようとしたと考えられる。
制作側の明確な狙いを感じます」


映像のデジタル化で、シワやシミが隠せなくなっていた女優にとっては救世主か。

(日刊ゲンダイ 2012.11.13)

中・高等部文化祭の見学と大学キャンパスの散歩

2012年11月12日 | 日々雑感

日曜日、
我が家の高校生が
実行委員長を務めているというので、
中・高等部の文化祭に行ってきました。



土曜は晴天だったのですが、
日曜は曇りから雨というお天気。

それでも校内はいっぱいの人で、
ひと安心。

軽音のバンド演奏を聴いて、
息子のクラスの演劇を見て。

それぞれ十分楽しめました(笑)。







息子の入学以来6年間、
毎年この文化祭を見てきましたが、
6年生(高校3年生)の今年で最後。

親は、
一緒に卒業するわけでもないのに、
少し寂しいわけです(笑)。


文化祭を見終わって、
大学のキャンパスを散歩。

雨に濡れた風景もまた良し、
でした。










ギャラクシー賞「報道活動」シンポジウムを開催しました

2012年11月11日 | テレビ・ラジオ・メディア

昨日(土)、日大江古田キャンパスで、公開シンポジウム第5回
<ギャラクシー賞受賞「報道活動」を見て、制作者と語る会>を、
無事行うことができました。

まずパネラーの皆さん、午後1時から5時半という長丁場、おつかれさまでした。

貴重な報告、率直なご意見、ありがとうございました。

そして、参加してくださった皆さんにも感謝です。

あらためて、全国各地で日夜、報道活動の取り組みを続けている方々に、エールを送りたいと思います。









TBS社長から全社員の自宅に「お手紙」!?

2012年11月10日 | メディアでのコメント・論評

発売中の「週刊新潮」最新号に、TBSの「社長から社員への手紙」をめぐる記事が掲載されている。

この中でコメントしています。


TBS社長が
全社員に書き送った「お家の一大事」

勤務先の社長から自宅に封書が届いたら、さすがに身構える。
実際、そんな“事件”が10月末、TBSテレビで起きていた。

<社員の皆様へ>と題した石原俊爾社長からの5枚に及ぶ手紙。
なぜこの手紙を送ったかを説明するペーパーも1枚。

それによると、テレビ業界の中でも、<私たちTBSは最も厳しい立場に立たされていると言っても過言では>なく、<TBSは何を目指すのか、(中略)皆さんに私の考えをお伝えしたいと考え、この度、直接皆さんのご自宅へ添付の文書をお送りすることとしました>

TBSテレビの全社員923名に届けられた勘定だ。

「今年の視聴率競争では日テレとテレ朝が1、2位争いを繰り広げ、フジが3位。TBSは民放4位ですが、実はNHKにも抜かれ、実質は5位。この10月にはプライムタイム(19~23時)の25番組を半分近く入れ替えました」(放送記者)

こんな背景がある。

再び手紙。かつて業界をリードしてきたTBSには、ものづくりのDNAがあるはずだから、それを、<確認し、発揮していく時だと思います>。

その上で、<TBS変革の宣言>がなされ、<ものづくりの原点に立つために>、今後は次の3つの問いに答えを出してから、企画立案するように求めている。

1)なぜその仕事は存在するのか。
2)それは、社会に何を投げかけるのか。
3)それを見た人は、何を感じ、どう考え、どう行動するのか。

まったくごもっとも。が、しかし、上智大の碓井広義教授(メディア論)は呆れる。

「今まで、そんなことも考えずに番組を作ってきたのでしょうか。だとしたら、公共の電波を使って放送しているという自覚がなさすぎます。電波を返しなさいと言いたいですよ」


今やTBSは会社四季報に「不動産『赤坂サカス』が収益柱」と書かれる始末。ものづくりのDNAが泣いている。

(週刊新潮 2012.11.15号)


TBSといえば、かつては「民放の雄」と呼ばれ、また「報道のTBS」と呼ばれ、さらに「ドラマのTBS」とも呼ばれた、“栄光の過去”をもつ放送局だ。

そして今・・・・。