河太郎の読書日記

本とか映画とかいろいろ

時のかさなり

2009-01-22 22:01:45 | 読書(小説)
ナンシー・ヒューストン、新潮クレストブックス。
ちょっと変わった手法の小説。
4人の6歳の語り手。
2004年のソル、1982年のランダル、1962年のセイディ、
そして1944~45年のクリスティーナ。
ソルはランダルの息子で、ランダルはセイディの息子、
セイディはクリスティーナの娘。
それぞれの時代の一場面を描くのだが、それぞれで完結した短編のようで、
ソルのAGM(曾祖母)クリスティーナの秘密を探るミステリーでもある。
アメリカとイスラエル、パレスチナ、ユダヤ、ナチスと、様々な問題を、
まきこまれた一般の人々の目線で描いていて、そこがいい。
AGMと姉の人形の取り合いやランダルの初恋、ヤネクという謎の男など、
ちりばめられた伏線が、回収されていく様も、とても面白い。
ただ、しょっぱなのソルが、とんでもなくアメリカ風にスポイルされていて
ちょっと空恐ろしい。皮肉なのかなんなのか。
どの時代でも、子どもは健気だけどかなり残酷でもある。

コメント
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