遊びをせんとや

毎日できるだけアンテナを張って
おもしろがりながら楽しみたい。
人は「遊びをせんとや生まれけん」です。

ヤマトタケル 松竹座 ~ひしひしと感じる猿之助の血~

2024-06-12 08:31:47 | 歌舞伎
久しぶりの歌舞伎本公演鑑賞です。
松竹座 ヤマトタケル 市川團子が単独主演です。



今回も友人のTさんに割安で取ってもらったチケット

初めての桟敷観劇です。
桟敷と言っても松竹座は一列の椅子席です。

ここです。写真を撮り忘れたのでこれはWebよりお借りしましたが、実際はもう少し後ろでしたが、なんせ前に人がいない。
一段上がっている。前が広い座席もいい具合に斜めに向いている。花道がすごく良く見える。
いいことずくめでした。ありがとうTさん。

さて、ヤマトタケル
昔2代目猿翁が猿之助の時に観たことがあったとは思うのですが、その時と同じ演出かと思うほど、斬新でした。
脚本は、ほぼ変わっていないということで、松竹座で16年振りだそうです。
はて、私は初演の三代目猿之助のヤマトタケルの公演を観ているのか?
こんな時に便利な歌舞伎アーカイブ。南座公演は1986年6月とある。
37年前である。28歳。観てるな確実に。Tさんも私と一緒に観たという。
この頃は仕事が超忙しくて、観劇感想は書いていないが、手帳がある。二階の納戸から探し出してきた手帳。

ありました!観てますね。同行者の名がないので、一人か?
ほぼ、覚えがないのでとても新鮮な感動を受けたのだ。ボケてるとも言える。
ちなみに現猿之助のヤマトタケルを2020年2月に南座で観るべくチケットも取っていた。だが、コロナで全公演中止。
結局私は観ずに終わった。なんだか因縁を感じる。

今回、感心したのは衣装の美しさ。
京劇を彷彿とするような色合い、アジアン的な要素もふんだんにあり、絢爛豪華ながらぎりぎりノーブルな均衡を保っている。
感心した。デザインも。

舞台写真は全てWebよりお借りしました。


この写真は南座の時の坂東弥十郎さん演じた熊襲タケルの衣装なのだが、打掛に魚類、背面は蛸なのである。
ちなみに弟の背面は蟹。なんとキッチュでしかも歌舞伎的か。
調べたら、この衣装、初めは30キロを超える重さだったが改良を重ねられたようだ。そうやろな。

場面によって微妙に色の主張をしているのも興味深かった。
炎の場面での旗の活用、海の場面での演出、効果的な映像、照明、場面を盛り上げる下座音楽を工夫した音響。
全て初めて観るように斬新だった。(観てるのに)

それにも、増して梅原猛原作の神髄が伝わってくる市川團子の演技であった。
沢瀉や一門色々あって結局この人に猿之助の血は蘇ったと言わざるを得ない。
彼の猿翁と浜木綿子の直系の名優の血が。

弱冠20歳とは。
この舞台はそのフレッシュなエネルギーがヤマトタケルの仁にあっての名演技だった。
充分主役である。

この写真もお借りしました。
中村壱太郎の兄橘姫、弟橘姫も良かった。
私は特に弟橘姫は海に沈む場面が情感がこもっていて、思わず泣けました。

今回、中村福之助、歌之助兄弟の活躍も目覚ましい。特に福之助のタケヒコが情感のこもった人物造形で成長著しい。
歌之助も赤面の熊襲弟と元気一杯のヘタルべを演じてて微笑ましかった。お父さんは大変なのにね。息子たちは頑張ってます。

 
Webよりお借りしました。写真の大きさが違ってすみません。

最後の宙乗りも久しぶりできれいだった。

本当の父親の市川中車が父王を演じ、感無量だった。ギリシャ悲劇の「オイディプス王」が頭をよぎった。

あらすじを知らなくても十分楽しめる一つのエンターテイメントだった。

最後に記念撮影



Tさんはジーンズ着物に自分で仕立てた作り帯。ロングは上げると様になるなー。いいなー。

もう一人のTさんはクリーム地に花柄の縮緬の単衣に絽の綴れ帯。正統派。

着物着て幕間のおしゃべりしながら観劇するなんて、ほんまに幸せでした。

帰りの電車が遅れてましたが、ずっと着物の事や舞台の事をおしゃべりして飽きませんでした。
この日の費用はチケット代オンリー。お弁当、水筒、お酒、おやつ(もらったミックス缶詰の中身を凍らせて持っていった)も全て持参。ロッカー代はなし。

昨日の晩御飯は鰯を細かく切って、玉ねぎ、しいたけ、アンチョビ、ニンニク、ラグーソース風に

トマト、セロリ、ブロッコリーのサラダ。温泉卵。









最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。