2014年11月27日 モスクワ発 ロシアの声 “Voice of Russia”
[日本捕鯨 鯨肉はイスラム・ハラルのために?]
日本は、約1年間の捕鯨モラトリアムのあと、「研究」プログラムの枠内における南極海での新たな捕鯨計画を発表した。今年3月、国際司法裁判所(ICJ)は、南極海での捕鯨中止を命じる判決を下した。日本はICJの判決に従うと約束したが、最近、南極海での新たな鯨類調査計画案「NEWREP-A」を発表した。「NEWREP-A」は、以前の調査捕鯨計画「JARPA II」に代わるもので、捕鯨範囲が大幅に拡大されている。日本の捕鯨調査が、これまでは主にオーストラリアかニュージーランドから南の海域で行われていたとしたら、新たな計画では、その活動範囲が、南大西洋と太平洋の南東部の南極沿岸部の3分の2にまで及んでいる。新計画では、捕鯨砲を使用して「研究という名のものとに」捕鯨の対象となるクロミンククジラの目標獲得数が333頭に減らされるが、日本の水産庁によると、「捕獲調査において重要な要素となる「性成熟年齢」の算出に必要な年齢情報は、現時点においては非致死的調査によって取得することが不可能であり、致死的調査が必要」だという。国際捕鯨委員会(IWC)は1986年、鯨の商業捕鯨を禁止した。1994年には、南極海に鯨類保護区が設置された。IWCの決議によると、捕鯨を伴うあらゆる「研究」プログラムは、事前に委員会の承認を得なければならない。日本のマスコミは、日本政府が18日に、新たな研究計画をIWCに提出したと報じた。IFAW(国際動物福祉基金)ロシア支部のアンナ・フィリッポワ専門家は、委員会が承諾する前の今冬にも捕鯨が再開される可能性があると危惧し、次のように語っている。「捕鯨は、複数の国に一定の捕獲枠が認められている先住民族の生存捕鯨によって動機付けられていることがある。日本は、研究目的の捕鯨を主張している。だが私たちが暮らしているのは21世紀だ。現代の学問には、鯨の致死的調査ではなく、殺さずにすむ調査方法がある。例えば、極東のサハリンにはコククジラの観測グループがいる。観測グループは、海に出て鯨の生態組織検査をしている。すなわち、組織サンプルが必要であれば、はるかに生き物を尊重した方法がある。槍などを使って組織の一部をとれば、鯨を死に追いやることはない。DNAの分析や、その他の調査であれば、これで十分だ。鯨の生息数調査では、現代の無人機が使用されている。日本が研究のために数百頭以上の鯨を殺さなければならないとしたら、私は、日本が鯨に関してどのような研究をしているのか理解できない。これは、環境や現代科学の視点からみて非常に奇妙だ。鯨肉が日本の伝統的な食文化に含まれているという情報を考慮しても納得できない。数多くの調査や世論調査などでは、現代の日本では鯨肉の需要がないことが示されている。少なくとも、捕鯨されている量の需要はない。これは、日本で誰かが強く働きかけている商業プロジェクトではないかという疑いを抱かせる。」 明らかになったところによると、鯨肉は、アラブ諸国やマレーシアなどのイスラム教徒の観光客を日本へ誘致するための一つの手段になっているという。日本捕鯨協会は昨年、ハラルの認証を取得し、イスラム教徒に許可された牛肉と同じ栄養価を持つ鯨肉を市場に送り出している。複数の情報によると、日本にはイスラム教徒がおよそ10万人いるが、ハラル品をメニューに加えるレストランが増えており、すでにハラルとして認められた鯨肉を出すレストランもあるという。日本では26-27日、ハラルに関する国際フォーラム・展示会「JAPAN HALAL EXPO 2014」が開催された。