2023年09月28日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[第6回ロシア国際漁業フォーラム“多極化する世界での漁業分野”概要報告]
今年2023年9月27日から同29日までの間、サンクトペテルブルグで第6回ロシア国際漁業フォーラムが開催されており、現地時間2023年9月27日11:30(日本時間同日17:30)から、当該フォーラムの本会議が開催され、ロシア農業大臣パトルシェフ、ロシア漁業庁長官シェスタコフ、ロシア農業銀行の代表者、上院議員、イラン漁業庁長官、中国遠洋漁業協会会長らが登壇、“多極化する世界での漁業分野”をテーマに、に話し合いが行われ、報告担当者、原口聖二もヴァーチャルでLIVE参加したので、その概要を報告する。
本会議のモデレータはロシア漁業庁長官シェスタコフが務めた。
シェスタコフは、世界市場と国際関係の変化というプリズムを通して漁業に携わっているが、ダイナミックに変化する状況により、ロシア漁業のための新たな戦術と戦略を構築し、新たな方法を模索する必要に迫られていると語り、国際貿易関係の再構築の始まりは新型コロナウイルス感染症のパンデミックで、各国は国家経済を維持し国民を保護するために独自の決定を下さざるを得なくなったと言及、一方で、世界の漁業界に導入された制限にもかかわらず、ロシア漁業は常に相互の受け入れ、相互に有益な解決策を見つけることに成功してきたと加えた。
ロシア農業大臣パトルシェフは、ロシア漁業が、いかなる規制にもかかわらず、依然として世界市場の最大のプレーヤーであり、業界が直面するあらゆる課題があったとしても、これを乗り越え、引き続き安定した漁獲量と製品の生産量を確保していくと述べた。
昨年2022年のロシアの水棲生物資源の生産量は490万トンに達した。
今年2023年は、漁獲量を11.5%増加させており、現在の生産量はすでに400万トンを超えている。
現在も太平洋サケマス操業は続いており、これも昨年2022年のほぼ2.5倍のペースで行われている。
今年2023年の水棲生物資源の生産量は500万トンを超えることが見込まれている。
ロシアは友好国の市場への方向転換を続け、輸出を増やし、新たな市場を開拓し続けている。
あらゆる制限にもかかわらず、ロシア産水産物の供給は80カ国(2022年は60カ国、2021年は58カ国)に行われている。
パトルシェフは、アジア太平洋地域の友好国、ラテンアメリカ、アフリカ、中東諸国との協力に大きな可能性を感じていると述べ、ロシア産水産物の輸出を増やすための追加措置を議論することを提案し、適切な支援を提供する用意があると言及、一方で、国内市場は常に優先事項であることにかわりはないと加えた。
ロシア上院農業食料政策・環境委員会第1副議長ミチンは、投資目的漁獲割当に義務付けされた漁船建造プロジェクトの現状について言及した。
同委員会は、造船業者が漁業者からの漁船建造の発注、当該契約を履行するプロセスを監視していて、一連の制裁に関連して新たに生じている問題を解決するためにあらゆる努力を払っており、これを主な任務の一つとしていると述べた。
ロシア農業銀行の代表者は、前回の“5カ年計画”と比較して、漁業分野への投資がほぼ4倍に増加したと語り、当該分野がロシア経済をリードする産業の一つだと言及したほか、国際決済に関しては、中国を通じて人民元で支払いを行う機会を提供していることを明らかにし、この通貨でのロシア漁業者への融資も可能だと加えた。
このほか、イラン漁業庁長官と中国遠洋漁業協会会長が登壇し、ロシアとの2カ国間の漁業協力、貿易の強化、IUU漁業との戦い等について言及した。
報告担当者:原口聖二は、当該フォーラムに第1回から今回で6回連続(第1回-第3回はリアル)の参加となります。