2023年05月31日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[#32 洋上風力発電と漁業 海外の経験 米国 ノースカロライナ州 漁業補償プログラムの取り組みに参加]
日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。
米国南東部ノースカロライナ州知事ロイ・クーパーは、2023年5月29日、洋上風力発電開発プロジェクトにおける漁業経営への影響を軽減するための調整プログラムに参加する他の大西洋岸州のグループに加わったと発表した。
ロイ・クーパーは、沿岸沖合漁業を守りながら、同州の洋上風力発電目標を達成するよう取り組むことが重要だと述べ、他の州と協力し、両方の目標を確実に達成することに全力で取り組んでいくと加えた。
ノースカロライナ州は、メイン州、ニューハンプシャー州、マサチューセッツ州、ロードアイランド州、コネチカット州、ニューヨーク州、ニュージャージー州、メリーランド州、バージニア州、そしてデラウェア州と、この問題について協力連携することになる。
現在、この取り組みは、洋上風力発電開発プロジェクトに関連して経済的影響が生じた場合に、商業漁業者に補償する枠組みを確立することに焦点を当てている。
このために開発事業者が支払う金銭的補償を管理するための地域的なアプローチを設立することを目的としている。ノースカロライナ州の沿岸沖合漁業による経済的影響は年間45 億ドルを超えている。
各州は協力して、一貫した公正かつ透明な補償手順を開発し、漁業補償のための非営利の地域基金管理者の設置を計画している。
ロイ・クーパーは、2021年6月9日付執行命令No.218により、同州沿岸沖合での洋上風力エネルギーを2030年までに2.8ギガワット、2040年までに8.0ギガワットを調達する目標を設定している。
なお、これらのプロセスの調整には、商業漁業の立場を代表する“責任ある沿岸沖合開発同盟”(RODA)、内務省エネルギー管理局(BOEM)、海洋大気庁(NOAA)、開発事業者の“アメリカン・クリーン・パワー” (American Clean Power)社、そして基金管理を専門とする法律家らが含まれている。