ロシア漁業ニュースヘッドライン

北海道機船漁業協同組合連合会
http://kisenren.com
一般社団法人北洋開発協会

2025年 ロシア漁業はどう変わるか ロシア漁業資源利用税改定後初めてのデフレーター発動等  リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

2024-12-31 11:25:00 | 日記

2024年12月31日

リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[2025年 ロシア漁業はどう変わるか ロシア漁業資源利用税改定後初めてのデフレーター発動等]

年明け2025年、ロシア漁業はどう変わるか。

①ロシア漁業資源利用税改定後初めてのデフレーターの発動、②養殖漁業にかかる付加価値税免除の撤廃、③魚卵製品のデジタル・ラベル表示義務の対象拡大、④所得税率の引上げ等が行われることになる。

ロシア経済発展省は、適用される見込みの漁業資源利用税改定後のデフレーター係数を2024年10月17日付命令No.645で発表した。

当該デフレーター係数は1.08となる。

ロシア漁業の資源利用税の最新の改定は2022年11月に行われ、来年2025年にデフレーターが使用されることが連邦法命令に盛り込まれていた。

これを考慮すると、来年2025年からの極東地方の主要魚類の資源利用税は別表のとおりとなる。

 

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日本EEZ“またがり資源”韓国近海スルメイカ操業2024年度管理期間操業概況(12月13日)  リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

2024-12-29 16:25:58 | 日記

2024年12月29日

リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[日本EEZ“またがり資源”韓国近海スルメイカ操業2024年度管理期間操業概況(12月13日)]

韓国漁船による自国EEZでの2024年度漁期(管理期間2024年7月-2025年6月)のスルメイカの実証試験枠を除くTAC管理漁獲量は、2024年12月13日までに7,370トン、前年度同期の約半分で極めて厳しい現状となっている。

2023年度漁期から西南海区中型トロールのTAC実証試験が設定されているが、漁獲量は報告日までに450トンで前年度同期比28%にとどまっている。

これらの合算は、7,810トンで前年度同期比49%弱となっている。

大型トロール、西海トロール、そして西南海区中型トロールの操業海域は、東経128度以西の西岸沖合に限定されている。

近海網漁船の操業規制に関する情報が少なく、海域利用の実態が不明だったが、専門家の報告により、主漁場がこれも西岸沖合であることが分かっている。

今漁期の報告日までの西岸沖合漁場が76%となっている。

日本の科学研究機関によると、韓国西海での漁獲量を2022年漁期まで1%未満-20%と推定していた。

しかし、韓国管理機関の情報をもとにすると、2017年漁期から2023年漁期までの間、西海での漁獲量のシェアは38.2%-79.4%で推移している。

日本の科学研究機関が、韓国の全体のスルメイカの月別漁獲量を4月-10月が秋季発生群、12月-3月を冬季発生群、11月を半々と単純分類していたため、親魚量算定の時のアンバランスの発生等があったものと考えられるが、明確な発信は現時点で確認されていない。

韓国スルメイカ漁業の実に8割に近い生産を西岸沖合漁場が占める実績の中、日本の資源評価において、この動向を論議の対象外としてきたことは、大きな問題点として指摘される。

日本の科学研究機関は2023年度から、遂にスルメイカの資源評価のための情報として、韓国西海での漁獲量を除外、対応は後退を見せている。

 

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ロシア“復活の日” 2024年漁期南極オキアミ操業 8万3,000トン  北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

2024-12-28 22:14:15 | 日記

 

2024年12月28日

北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[ロシア“復活の日” 2024年漁期南極オキアミ操業 8万3,000トン]

ロシア漁業庁は、今年2024年漁期、ロシア漁業者による南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)海域でのオキアミの漁獲量が8万3,000トンに達したと発表した。

長い休止期間を経て、ロシア漁業が南極オキアミ操業を再開、“復活の日”を迎え、今年2024年3月、BMRTタイプ漁船“コマンドル”(БМРТ“Командор”)が着業した。

“コマンドル”はサウス・オークニー諸島AchA(АчА)海域を主漁場として利用した。

“コマンドル”には科学的支援や製品加工技術の研究を任務として、全ロシア海洋漁業研究所ヴニロ大西洋支部アトラント・ニロの科学オブザーバが乗船した。

“コマンドル”の洋上加工製品は、主にフィッシュミールとなったと伝えられている。

CCAMLR海域でのロシア漁船による本格的なオキアミ操業は1992年以来行われておらず、2008年から2010年、着業船1隻により短期間で小規模なわずかな実績が残っている。

ロシア政府は、2021年6月30日付No.1767により、2030年までの同国漁業発展戦略に基づく、南極漁業に関する計画を承認し、南極オキアミ漁業への復活を目標に掲げ、世界の大洋でのプレゼンスの向上と、当該資源の加工による新たなハイテク産業の創出に向かって行動を続けている。

 

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ロシア漁業者 2024年 490万トン生産を視野に年末操業を継続 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

2024-12-28 21:45:42 | 日記

2024年12月28日

北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[ロシア漁業者 2024年 490万トン生産を視野に年末操業を継続]

ロシア漁業庁は、2024年12月28日、ロシア漁業者が同年末までに490万トンを生産することを視野に年末操業を継続していると発表した。

同年12月24日までのロシア漁業者による水棲生物資源漁獲量は、480万5,000トンに達している。

主要海域別では、極東で364万1,800トン生産され、この内、スケトウダラが191万500トンで前年同期を3万6,300トン上回っている。

また、ニシンが43万5,100トンで5万1,600トン上回り、このほか、マダラ10万5,200トン、カレイが6万トン等となっている。

さらに主要海域で、北部海域が43万3,700トン、バルチック海7万3,300トン、アゾフ・黒海3万4,400トン、そしてカスピ海が7万9,500トン等となっている。

なお、外国海域、国際協定海域および公海部海域が48万トンとなっている。

 

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ロシア 北部海域(バレンツ海)カニ漁獲割当オークション第2弾 3回目を設定

2024-12-28 07:51:34 | 日記

2024年12月28日

北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[ロシア 北部海域(バレンツ海)カニ漁獲割当オークション第2弾 3回目を設定]

ロシア漁業庁は、2022年に用意された後、開催が延期されていた北部海域(バレンツ海)カニ漁獲割当オークション第2弾の実施を試み、第1回目を2024年11月13日に設定するも応札申請がなく不成立、スタート・プライスを下げ第2回目を2024年11月28日に設定したが同様に失敗に終わったことを受け、更に、これを引き下げ第3回目を年明け2025年1月23日に行うと発表した。

参加申請受付期間は2024年12月27日から2025年1月20日までとなっている。

上場されるのは向う15年間のタラバガニ漁獲割当5ロットとなっており、3ロットは全長50m以上のカニ漁船建造、2ロットは大規模物流複合施設建設のそれぞれ付帯プロジェクトの実行が義務付けされている。

スタート・プライスは第1回目の128億ルーブル、第2回目の115億ルーブルから更に引き下げられ、104億ルーブルとなる。

2019年の第1弾では、バレンツ海のタラバガニTAC設定の50%、5ロットが上場され、スタート・プライスが44億ルーブル、落札者は、計308億ルーブルを支払うこととなった。

また、同様に漁船建造プロジェクトが付帯義務となった。

14の漁業会社によって年間1万トンのタラバガニと7,100トンのズワイガニ(オピリオ)、そして4万5,000トンの魚類等を生産するロシア”北西漁業コンソーシアムSZRK”(Северо-Западный Рыбопромышленный Консорциум”СЗРК”)の代表セルゲイ・ネスヴェトフは、当該オークションの第1弾でさえ、莫大な金融債務を抱えている中、第2弾の設定は法外であり、タラバガニの需要を過大評価していると言及、オークションへの参加は経営的に成立しない可能性がると指摘する。

従前、バレンツ海のロシア産カニの主要市場は米国と欧州で、製品は冷凍だったが、現在は、これらが制裁措置により封鎖されている。

一方、アジア市場、特に中国は活製品が主軸で、このための大陸を横断する物流コストも大きく、冷凍製品の市場も開拓されつつあるものの、飛躍的な拡大はないと予想されている。

当該オークション第2弾の2回目についても応札に不透明感が漂っていた。

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ロシア高性能表中層トロール漁船“ピョトル1世”年間生産量世界記録更新  北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

2024-12-26 16:36:14 | 日記

 

2024年12月26日

北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[ロシア高性能表中層トロール漁船“ピョトル1世”年間生産量世界記録更新]

ロシアの“トラル・フロート”(Тралфлот)社所属、高性能表中層トロール漁船“ピョトル・ペルヴィ”(Петр I:ピョトル1世)は、昨年2024年、9万3,500トンを漁獲、生産し、1隻あたりの年間生産量の世界記録を更新した。

“ピョトル・ペルヴィ”は1993年、スペインで建造され、2017年に近代化を完了した。

全長105mx全幅20.64m、1日あたりの漁獲能力は450トン-480トン、冷凍保管能力3,000トンとなっている。

“ピョトル・ペルヴィ”は昨年2024年漁期、12月20日に307日間の操業を完了した。

第1回目の操業航海は1月8日から6月1日、第2回目は7月2日から12月20日まで続いた。

冬春季オホーツク海と太平洋で主にスケトウダラ、ニシン、夏秋季は太平洋でイワシ・サバを漁獲した。

“ピョトル・ペルヴィ”の世界記録樹立は今回が初めてではない。

2023年に9万273トン、2019年に8万7,297トンを生産し、それぞれ自らの記録を更新している。

(報告担当者 原口聖二:1隻で北海道沿岸沖合の約1/10を漁獲、生産したことになる。)

 

 

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スルメイカTAC設定 北海道機船漁業協同組合連合会はロシアと韓国の漁獲勧告・TACとの比較を行った  日刊みなと新聞

2024-12-26 11:20:16 | 日記

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またがり資源スルメイカ 日本・韓国・ロシアEEZ  TAC/漁獲勧告設定推移  リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

2024-12-24 13:13:19 | 日記

2024年12月24日

リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[またがり資源スルメイカ 日本・韓国・ロシアEEZ  TAC/漁獲勧告設定推移]

日本国水産庁は、昨日2024年12月23日、中国、韓国、北朝鮮、そしてロシアとのまたがり資源となるスルメイカの2025年漁期(2025年4月-2026年3月)の自国EEZのTACを1万9,200トンに設定する案を採択した。

韓国は2024年漁期(2024年7月-2025年6月)が3ケ月間、重複する形で操業が展開されており、そのTAC設定は6万3,090トンで3倍以上のものとなっている。

ロシア漁業庁は、日本EEZとの“またがり資源”となるスルメイカの自国EEZにおける来年2025年(暦年:日本の漁期と9ケ月間重複)の漁獲勧告量を既に発表しており、日本海と太平洋を合わせた設定は3万2,670トンとなっている。

ロシアは、資源特性からスルメイカをTAC魚種から除外、漁獲勧告量の設定により管理している。

2021年-2025年の当該“またがり資源”の日本EEZ、韓国EEZのTACと、ロシアEEZの漁獲勧告のそれぞれの設定比較は別表、別図のとおりとなる。

 

またがり資源スルメイカ 日本・韓国・ロシアEEZ  TAC/漁獲勧告設定推移(単位:トン)

TAC・漁獲勧告/年

2021

2022

2023

2024

2025

日本TAC(2025年案)

57,000

79,200

79,200

79,200

19,200

日本TAC(2024年当初設定)

 

 

 

29,000

 

韓国TAC

83,834

85,590

61,900

63,091

 

ロシア・日本海漁獲勧告

40,798

40,938

52,939

33,991

20,515

ロシア・太平洋漁獲勧告

20,151

20,151

17,998

12,151

12,153

ロシア極東海域漁獲勧告

60,949

61,089

70,937

46,142

32,668

作成:北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

 

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ロシア 投資目的漁獲割当義務付け漁船建造プロジェクト履行義務期限 更に延長へ  北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

2024-12-24 11:32:23 | 日記

2024年12月24日

北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[ロシア 投資目的漁獲割当義務付け漁船建造プロジェクト履行義務期限 更に延長へ]

ロシア農業省は、投資目的漁獲割当(“投資クオータ”+カニ漁獲割当オークション)に基づく漁船建造プロジェクトの実施期限の延長に関する決議案を提出した。

同国政府は2022年5月、当該履行義務期限を6年から8年に延長していたが、今回、更に12年とする提案がなされた。

今年2024年10月までに第1弾の当該プロジェクトにおいて30隻が建造され、年末までに、新たに6隻が竣工・引き渡しが行われる予定となっている。

第2弾のカニ漁獲割当オークションの結果に基づくプロジェクトも開始されている。

しかし“投資クオータ”を含めた第1弾では100隻を超える漁船建造が計画されており、この遅れの問題が存在している。

ロシア副首相パトルシェフは、既存の20件の契約期間が今年2024年10月30日に期限切れとなることから、関係省庁に対し、契約の終了、期限延長、造船所の変更契約等の決定案を迅速に策定することを求め、加えて、造船業界への資金をタイムリーに提供するための対応を先に指示していた。

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第22回ロシア・ベラルーシ漁業委員会が完了する  リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

2024-12-15 18:27:31 | 日記

 

2024年12月15日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[第22回ロシア・ベラルーシ漁業委員会が完了する]
ロシア漁業庁は、第22回ロシア・べラルーシ漁業員会で協議に合意、これを完了したと発表した。
ロシア政府代表を同庁副長官アンドレイ・ヤコブレフが務めた。
委員会では、ロシアEEZにおける水棲生物資源の漁獲割当の設定、科学技術協力等について話し合いが行われた。
同委員会は2002年3月13日付ロシア・ベラルーシ政府間協定に基づき設置されている。
前回第21回両国漁業員会ではロシアとベラルーシの企業によるベラルーシ旗でのロシアEEZ内共同漁業に合意がなされ、今年2024年春季オホーツク海抱卵スケトウダラ操業、所謂“Aシーズン”に参加、2万1,500トンを漁獲し成功を収めている。(報告担当者 原口聖二:ロシアは漁業政策として基本的にオホーツク海での外国漁船によるスケトウダラ操業を認めていない。)
今年2024年、この特別な共同漁業に用意されたスケトウダラ漁獲割当は、前年同で、オホーツク海とベーリング海において5万1,000トン、その他を含め計6万2,000トンが配分されている。

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#107 洋上風力発電と漁業 海外の経験ヴェスタス 需要減で洋上タービン製造終了 300人削減  “需要減 その役目を終えた これからは陸上で” 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

2024-12-12 19:04:27 | 日記

2024年12月12日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[ #107 洋上風力発電と漁業 海外の経験ヴェスタス 需要減で洋上タービン製造終了 300人削減]

“需要減 その役目を終えた これからは陸上で”

①洋上風力発電が本当にCO2削減に貢献するのか、②洋上風力発電事業自体が再エネ賦課金だのみの不採算事業であり漁業分野を含め満足な補償等に対応がなされるのか、③政府が責任をもったMSP(海洋空間計画)を設定すべきではないのか、④政府がベースラインをしっかり作るような漁業影響調査を指導すべきではないのか。

日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。

世界中の漁業者は共通に、洋上風力発電プロジェクトについて、自らが知らない間に選定地が決まって唐突に説明会が始まり、漁業当局に十分なヒアリングを行うことなく、他の部局が主導する地方自治体の前傾姿勢による拙速な取り組みが行われ、事業開発者から漁業分野の科学的知見を理解しようとしない姿勢を感じていると指摘している。

一方、新型コロナウイルスのパンデミックを発端とするサプライチェーンの混乱は、ウクライナ紛争で一段と深刻化しており、輸送コストや原材料費の高騰、金利の上昇、そして、インフレにより、風力発電事業者の利益が圧迫され、内容が悪化しており、このような環境で、漁業分野を含め満足な補償等に対応がなされるのか、はなはだ疑問な状況が伝えられている。

2024年12月11日、デンマークの洋上風力タービン・メーカの“ヴェスタス”(Vestas)社は、需要の減少にともない、英国での洋上風力発電のタービンの製造を終了、拠点のワイト島の300人を解雇し、残りの300人を陸上向け小型タービンの製造に傾注させると発表した。

88か国で事業を展開するヴェスタスは、洋上ブレードの製造からより小型の陸上ブレードの製造に切り替えている。

この残り300人の雇用維持は英国政府との契約に基づいて維持されることになる。

“ヴェスタス”は洋上風力発電のタービン・ブレードの需要は終わりに近づいていると説明している。

 


 

国際環境経済研究所所長(常葉大学名誉教授):山本隆三様

洋上風力発電増加に懸念 “電気料金高騰やチャイナリスクなど問題山積”から

日本の洋上風力事業者が、競争力のある製品を導入するためには、中国メーカーに依存することが必要になる可能性が高い。エネルギー供給の重要な製品を強権国家と呼ばれる中国に依存することは、安全保障上大きな問題を生じる。欧州連合(EU)は、入札に中国メーカーが参加することを防ぐため価格以外の条件を設ける予定だが、実施は各国に任されている。その方法は、サイバーセキュリティ条件を付け、中国製機器を排除することだ。風力発電設備から情報が送られれば、中国は電力供給状況を把握しデータセンター等への供給を遮断することも可能になる。

英国のヒンクリーポイントC原発事業に中国が参加する際にも、英国内で大きな議論があったが、英国政府は、数千億円を投資する中国がその投資をドブに捨てはしないと判断し、許可を出した。しかし、ロシアのウクライナ侵略は、強権国家依存のリスクを知らしめることとなり、英国政府はヒンクリーポイントC事業以降の中国企業が参画を予定していた原発計画をすべて見直し白紙にした。エネルギー供給設備を強権国家に依存するリスクは高い。

設備よりも、もっと大きな問題もある。中国は再生エネ設備を製造するために必要な鉱物資源、レアアースなどの大半を供給している。日米欧は脱中国依存の政策を進め同盟国内からの調達を強化しようとしているが、簡単ではない。たとえば欧州委員会は、理事会、議会が昨年11月に暫定的に合意に達した重要鉱物法案を用意している。今後EU理事会と欧州議会の正式な採択を経て法案は施行される見込みだ。

重要鉱物法案の30年の目標は次の通りだ。

◎年間消費量の最低10%を域内で採掘 年間消費量の最低40%を域内で加工

◎年間消費量の最低25%を域内のリサイクルで賄う

◎1か国からの輸入量を年間消費量の65%以下にする

30年時点でも、中国からの輸入量は最大65%も想定されているが、それだけ中国依存度の引き下げは難しいということだろう。

それでも洋上風力なのか

コスト、地域への貢献、安全保障の面で、洋上風力事業にはリスクが伴う。経済が好調と言えない日本が取り進めるのに適した事業だろうか。風況が欧米よりも劣る日本が、仮に欧米と同じ額の投資額で事業を展開しても、日本の発電コストは欧米諸国より高くなる。浮体式を導入すると、コストはさらに上昇する。

 産業も国民も競争力のある電気料金を必要としている。脱中国依存も重要な課題だ。洋上風力事業を強力に進める大きな理由は、他に脱炭素の有力な方法がないから、というようにも見える。SMRを含めて経済に負担をかけない方法を模索すべきだ。日本政府は、かつて成長戦略として太陽光発電事業を進めたが、中国企業支援策に終わった。また、同じことを行うのだろうか。

 

東洋経済ONLINE大塚隆史様は、“「洋上風力汚職」で風力発電協会の残念すぎる検証”と題したリポートの中で、秋本議員が、洋上風力の公募入札ルールについて「具体的な“味付け”をエネ庁に指示している」と強調して、入札ではヴェスタス社(デンマーク)製の風車を採用するよう企業に繰り返し求めていたと記している。

 

東洋経済ONLINE大塚隆史様

2024年08月30日、“「洋上風力汚職」で風力発電協会の残念すぎる検証”

検証委員の1人が「秋本議員に個人献金」の過去

「最初から着地点が決まっていた。結論ありきの検証だ」。日本風力発電協会(JWPA)が2024年7月22日に公表した「検証報告書」について、ある会員企業の社員は憤る。

JWPAは風力発電の業界団体で、約500社のメーカーや発電事業者などが加盟。近年は洋上風力に関する政策提言を積極的に行ってきたが、昨年10月に資源エネルギー庁から行政指導を受けた。「第三者の関与の下で協会の意思決定および活動のあり方等を検証するように」という内容だ。

指導のきっかけとなったのは、洋上風力を舞台とした秋本真利衆議院議員と日本風力開発・元社長の受託収賄事件だ。事件前の秋本議員は自民党に所属、再生可能エネルギー普及拡大議員連盟の事務局長を務め、風力発電の普及を推進してきた。

東京地検特捜部は、元社長が国会質問などを依頼し、秋本議員がその見返りに賄賂を受け取ったとして昨年9月に2人を起訴した。秋本議員は起訴内容を否認している。

霞が関から「出禁扱い」に

この汚職事件には、JWPAも一定の関与があったのではないかと取りざたされてきた。加藤仁代表理事は日本風力開発の副会長(いずれも当時)。ほかにも同社の関係者がJWPAの要職に就いており、日本風力開発の強い影響下にあったからだ。

秋本議員らが起訴された日、JWPAはHP上で贈収賄疑惑への関与を否定するとともに「協会活動が特定の役職員や法人の意向に左右されることはない」と意見表明した。

しかし翌月にエネ庁から指導を受ける。JWPAは、「エネ庁はおろか、環境省など霞が関全体で出禁の扱い」(業界関係者)となった。

このようなことを背景にJWPAは、東京大学先端科学技術研究センターの飯田誠・特任准教授を座長とする検証委員会を立ち上げた。飯田氏は洋上風力に関する国の審議会で委員を務めている。

同委員会は、JWPAの意思決定および活動のあり方について問題点を検証することを目的に掲げ、「贈収賄事件は検討事項ではない」(JWPA広報)とした。ただ報告書では秋本議員との関わりについても紙幅を割いている。

そこでの結論は「違法性はない」。秋本議員とは交友関係を築いてきたが、JWPAから国会で質問をしてくれるように働きかけた事実は確認されなかったとする。秋本議員のほうから、風力関係の質問をするので質問事項を提出してほしいと要請を受けて対応したときも、なんらかの利益を供与した事実は確認されなかったという。

そのうえで贈収賄事件については、検察の起訴によって協会が潔白だということは明白になったと主張。「特定の会員企業に経済的・人的に依存していたことが特定企業の発言力の大きさにつながった可能性がある」と指摘している。

国内産業への経済波及効果という点では、三菱重工が出資しているベスタスが有望だ。ほかの欧米メーカー製では経済波及効果を得られないと秋本議員は考えていたようだ。

MHIベスタスジャパンの社長は、現在JWPAで副代表理事を務める山田正人氏だ。2020年の昼食会のやり取りについて確認すると、「確かにそうしたやり取りがあった」と認めた一方で、「何の前触れもなくそういう話が出たので他事業者も聞き流した」と述べた。

だが山田氏は、報告書のメディア向け説明会の場で矛盾した発言をしている。秋本議員との間において、入札の方向性や個社の戦略に関わるやり取りは「把握している限りなかった」と言明しているのだ。

昼食会の出席者リストには、山田氏、コスモエネルギーホールディングス(HD)の子会社コスモエコパワーの眞鍋修一氏(JWPA元理事)、中村成人JWPA専務理事の名があった。この3人は今回、検証委員会の委員を務めている。現在の代表理事である秋吉優氏(ユーラスエナジーHD副社長)の名もリストにある。

自民党再エネ議連

2022年6月、洋上風力に関する提言書を萩生田光一経産相(左)に手渡しした、自民党・再エネ議連の柴山昌彦会長(中央)。秋本真利議員(右)は事務局長を務めていた。肩書は当時(記者撮影)

秋本議員とJWPAの距離が接近する契機になったとみられるのが、2020年に開催された「洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会」だ。この官民協議会で、アジアでも有数の洋上風力の導入目標を初めて策定した。

秋本議員は官民協議会の発案者を自負し、関係企業に自身への支援を強く求めていた。こうした秋本議員の振る舞いは、検証委員会の検証対象からすっぽりと抜け落ちている。

「(エネ庁からは)官民協議会にさかのぼって秋本先生とどういう付き合いをしてきたかは問題視されていない。さかのぼって議論する必要はないということでこの報告書はまとまっている」(山田氏)

検証委員会の人選に疑問あり

冒頭に記した会員企業の社員のように最初から検証には期待していなかったという声は少なくない。そもそも検証委員会の人選に問題があるからだという。

問題を起こした当事者やその当事者に近しい人物を排して検証委員会を設置するのがセオリーだが、JWPAは定石に反して委員を選任した。検証対象となるのはJWPAの旧体制における意思決定と活動のあり方だ。ところが3人いる協会側委員のうち、山田氏と中村氏の2人は旧体制の幹部だ。

それだけではない。元代表理事の加藤氏は、山田氏にとって三菱重工時代の上司。同じく旧体制で副代表理事だった祓川清氏(当時は日本風力開発グループ企業の最高顧問)は、中村氏のユーラスエナジーホールディングス時代の部下だ。

秋本議員とJWPAとの関係に不適切なものはなかったというわけだが、検証委員会による検証範囲はきわめて狭い。

どのような過程で日本風力開発が影響力を強めていったのか。日本風力開発の元社長が自らの思惑を通すためにJWPAに働きかけることはなかったのか等については触れられていない。一部幹部の“暴走”についてもなぜチェック機能が働かなかったのかという視点が弱い内容になっている。

2020年の昼食会での「秋本発言」

2021年12月末、大型洋上風力の事業者公募において、三菱商事などの企業連合が3海域のプロジェクトを独占し「総取り」した。それ以前の動きも検証の対象になっていない。

事業者公募の結果が出た後、JWPAは直ちに入札ルールを変更すべきだと提言。呼応するかのように秋本議員は翌年2月の国会で、事業者公募の際の評価基準の見直しを訴えた。三菱商事陣営の総取りで洋上風力への事業参入の目論見が崩れた企業の1つが日本風力開発だった。

報告書は総取りを受けたJWPAの提言について、「きわめて閉鎖的に取りまとめが行われ、不適切だった」とし、「執行部の自負や思い込みが強すぎたものと考えられる」と総括している。

この公募の結果が出る約1年前の2020年9月。JWPA会員企業と秋本議員の間で昼食会が開かれた。官房長官だった菅義偉氏が出席する予定だったが、首相に就任したため欠席。菅氏の名代として出席したのが秋本議員だった。

その席で秋本議員は、洋上風力の公募入札ルールについて「具体的な“味付け”をエネ庁に指示している」と強調。入札ではヴェスタス社(デンマーク)製の風車を採用するよう昼食会に出席した企業に繰り返し求めていた。

疑問はまだある。検証委員会で「第三者」と位置づけられた委員だ。

6人いる第三者委員の一人が、西村あさひ法律事務所・外国法共同事業の平尾覚弁護士だ。JWPAは秋本議員の贈収賄事件への対応をめぐり、同弁護士に相談をしていた。

メディア向け説明会で検証委員会座長の飯田氏は、「弁護士の仕事柄、(仕事ごとの)線引きはしっかり引かれている」と強調。説明会から数日後、JWPAの広報担当者から届いたメールには、平尾弁護士との委任契約は委員会設立時には終了しており、「客観性と中立性は保たれている」と記されていた。

利害関係のない第三者だとするJWPAの説明に、納得できる人はどの程度いるのだろうか。

第三者なのかあやふやな委員

前述した昼食会の出席リストに名があった眞鍋氏も第三者委員だ。ところが旧体制で理事を務めていただけでなく、秋本議員に5年間で60万円を個人献金していた。個人献金自体に法的な問題はないものの、秋本議員の支援者が第三者として委員に就いたことの適切性は問われてしかるべきだ。

山田氏は、眞鍋氏が個人献金していた事実は認識しているとし、「協会の過去の経緯や歴史を把握していることから選任したため、第三者としては認識していない」(山田氏)と釈明した。

JWPAからは8月29日時点で平尾氏や眞鍋氏を第三者とする報告書の内容を修正していない。これで報告書の信頼性を確保することができるだろうか。

運営体制改善の取り組みなどをまとめた完了報告書をエネ庁に提出したことをもって、JWPAの「霞が関への出禁」は解除された。JWPAは体制の改革などを進めているが、関係者の処分は行わない。「(運営ルールの不備など)協会自体の問題というのが結論」(秋吉代表理事)だからだ。

検証委員会を通じたJWPAの膿を出し切るチャンスは失われた。こうした対応を会員企業は許容するのか。社会の目は会員企業のガバナンス意識をも問うている。

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米国 2025年スケトウダラTAC設定 前年比4.3%増 158万トン  北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

2024-12-12 15:51:09 | 日記

2024年12月12日

北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[米国 2025年スケトウダラTAC設定 前年比4.3%増 158万トン]

米国北太平洋漁業管理委員会NPFMCが、来年2025年のスケトウダラTAC設定を、前年となる今年2024年比4.3%増の158万495トンで承認した。

主漁場となる東ベーリング海域は、設置された科学統計委員会SSCの勧告どおり、今年2024年の130万トンに対し、5.8%、7万5,000トン増の137万5,000トンとなる。

SSCは、観測データとトロール調査等の分析結果から当該資源の健全性が確認されていると報告していた。

一方、アラスカ湾は4.8%減の18万6,245トンとなる。

米国スケトウダラTAC設定(単位トン)

操業海域/年

2021

2022

2023

2024

2025

前年比

東ベーリング海

1,375,000

1,111,000

1,300,000

1,300,000

1,375,000

105.8%

アリューシャン列島

19,000

19,000

19,000

19,000

19,000

100.0%

ボゴスロフ

250

250

300

250

250

100.0%

小計

1,394,250

1,130,250

1,319,300

1,319,250

1,394,250

105.7%

アラスカ湾

113,227

141,177

156,578

195,720

186,245

95.2%

合計

1,507,477

1,271,427

1,475,878

1,514,970

1,580,495

104.3%

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英国政府 ロシア産スケトウダラ 第3国加工製品への制裁見送り 日刊みなと新聞

2024-12-12 12:16:45 | 日記

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Шок! ロシア独占禁止庁 韓国合弁スケトウダラ漁業にメスを入れる  リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

2024-12-11 10:35:45 | 日記

Шок!

2024年12月11日

リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[ロシア独占禁止庁 韓国合弁スケトウダラ漁業にメスを入れる]

2000年代初めからこれまで韓国の冷凍スケトウダラ市場は、韓国漁業会社がロシアと合弁企業(資本:ロシア51%以上/韓国49%以下)を設立、漁船をロシアにリフラッキングさせ、ロシアEEZの漁獲割当をロシア漁船として確保、製品を輸入する際、免税特権(非課税)を受ける所謂”合弁操業”が約20万トンと、韓ロ政府間協定に基づく韓国フラッグでのロシアEEZにおける”GG操業”(3隻)の2万トン-2万5,000トンで構成されてきた。

ロシア独占禁止庁は、前者、合弁操業について2023年5月-6月、”国防・安全保障戦略産業に対する外国人投資手続法”(外国人投資法)に基づき調査を行い、今年2024年11月、8社が外国人資本の支配下にあると認定する結論を発表した。

外国人資本により不正に行われる漁業、水棲生物資源の漁獲割当は強制的に停止させられることになる。

当該8社は次のとおりとされている。

“オリオン”(Орион)、“ダリトランス・フロート”(Дальтрансфлот)、“シリウス” (Сириус)、“ヤンタール”(Янтарь)、“ハブルイバ”(Хабрыба)、“ミッコル”(Миккор)、“アリナイ”(Аринай)。

ロシア独占禁止庁は、2012年、ロシア漁業会社を実質支配し、ロシア海域のスケトウダラの漁獲枠を管理しているとされた中国企業“パシフィックアンデス” (PacificAndes International Holdings)を追い詰め、これを排除した。

同社が株主向けに、多数のロシア極東漁業会社を実質管理して、ロシア海域のスケトウダラの60%を支配している旨の報告をしたことに端を発した。

ロシア独占禁止庁は、執拗な調査活動と強硬な訴えにより、“パシフィックアンデス”に対し外国投資政府委員会によるロシア漁業資産の売却命令の決定が下されるまでに至らしめた。

ロシア独占禁止庁は、“パシフィックアンデス”の極東における活動は合法的ではないと指摘、中国同社は違法に取得したロシア漁業資産を売却し、ロシアから退去しなければならないと主張した。

また、ロシアにおいて漁業は戦略的産業分野に位置付けられていて、法律の下では、外国投資管理のための政府委員会の承認を受けてのみ、その投資活動が許されるが、この時点において同社はその許可を得ておらず、また、ロシア政府も同社によるロシア漁船等資産購入のための許可を与えていないと指摘した。

一方、その後、大統領プーチンの盟友とされるオリガルヒのチムチェンコらが主要株主だったロシア水産投資企業グループ“ルスコエモーレ”「ロシアの海」(Русское море)の"ルスコエモーレダブイチャ(Русское море добыча:現「ロシア漁業会社」)が、“パシフィックアンデス”が関与していたとされる“トウルニフ”(ТУРНИФ)、“イントラロス”(Интрарос)、“ヴォストークルイブプロム”(Востокрыбпром)“ソフガバニルイバ”(Совгаваньрыба)、"バルトスタルホールデイング"(Балтстар холдинг)、"マリックス"(Маликс)等を、低くなった資産価値で次々と買収、2013年に、ロシア海域スケトウダラの最大のクオータ・ホルダーとなったことから、一つのデザインされた行動だったのではないかとの分析もされるところとなった。

 

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ロシア漁業界 財務内容悪化等への対応 支援要求策を論議  リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

2024-12-10 16:45:41 | 日記

2024年12月10日

リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[ロシア漁業界 財務内容悪化等への対応 支援要求策を論議]

全ロシア漁業者水産物輸出者協会ヴァルペ(ВАРПЭ)は、2024年12月5日、ロシア漁業の財務内容の悪化への対応、規制上の負担軽減のための措置等、中小企業に対する政府の支援策を求め、ロシア産業企業家同盟(РСПП:日本の経団連に相当)の会合で、これらの問題を提起した。

この5年-6年、ロシア漁業は投資目的漁獲割当の設定により、漁船・運搬船建造、水産加工場・物流複合施設建設など160件以上のプロジェクトを実施、あるいは計画しており、高次加工製品の生産も増加している。

製品輸出の可能性は2030年までに1.5倍以上、最大88億5,000万ドルに達すると推定されている。

しかし、ロシア漁業者による“自発的・強制的”投資は、長期にわたる莫大な信用資金にアクセスできない中小企業の場合、実際の運転能力を上回っている。

2017年から2024年8月までに、ロシア漁業の負債総額は4.4倍に増加し、1兆ルーブルを超えた。

これは、2024年1月-8月の漁業者の売上を34%上回っている。

同期利益は2023年と比較して26%減少、600億ルーブルとなった。

現在、40%以上の漁業者が不採算であり、その割合は2017年と比較し26.3%増加している。

ロシア漁業の財務状況が急速に悪化していることは明らかなものとなっている。

業界の独自調査で、2024年10月1日時点において、投資目的漁獲割当確保、漁船建造プロジェクト義務等により金融債務が1兆1,000億ルーブルに達していることが分かった。

来年2025年のロシア漁業の金利支払いは850億ルーブルで、元本返済も求められる。

一方で制裁措置に加え、ロシア政府が、2023年9月21日付決定No.1538により、水産物製品を含めた広範な商品の輸出関税を、ルーブルとドルの為替レートに連動させて設定、同年10月1日からこれを施行し、輸出の足かせも増えている。

昨年2023年、ロシア漁業・水産加工業の売上は1兆ルーブルに達したが、スケトウダラ業界の純利益率は7.6%で、2019年の28.8%からの低下が著しくなっている。

今回の会合で業界は、国家による漁業分野への財政的支援措置を改めて訴え、輸出関税設定から水産物製品を除外、経済的要因を考慮したTAC設定の迅速な調整、漁獲割当消化閾値70%規則の撤廃等を求める提案を行った。

これに参加したロシア漁業庁長官シェスタコフは、国家予算にも限りがあり、追加的金融支援策はハードルが高く、主に規制緩和の問題に取り組むことで支援策としたい旨を発言、理解を求めた。

 

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