2024年07月26日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシアは世界のスケトウダラ漁業のリーダーの立場を維持する]
今年2024年漁期、ロシア漁業は同年上期130万トン以上のスケトウダラを漁獲、このセクターの競争相手でもある米国のほぼ2倍の生産を行い、世界の当該漁業のリーダーの立場を維持している。
今年2024年上期、ロシア極東海域におけるスケトウダラの生産量は130万800トンに達し、前年2023年同期を2万1,000トン、1.6%上回り、製品出来高も1.3%増加、68万7,000トンとなった。
ロシア漁業は現在の世界情勢、制裁措置から国内市場において需要がある製品の生産にも力を入れており、ともなってフィレを減少させスリミを増産する等生産構造を調整している。
今年2024年、7月4日までの製品生産は前年2023年同期と比較し、冷凍スケトウダラ(H&G・W/R)が1.3%増、スリミ24%増、一方、フィレ10%減、その端材から生産されるミンス13%減となっている。
現在、ロシア漁船団は、今年2024年漁期も、1月-4月のオホーツク海抱卵スケトウダラ操業、所謂“Aシーズン”を終え、第2の主要漁場となる西部ベーリング海域で操業を展開している。
今年2024年漁期の100日間におよぶオホーツク主要3海域(カムチャツカ・クリール/西カムチャツカ/北部オホーツク)“Aシーズン”の漁獲量は82万7,000トンで、前年2023年同期比2万4,000トン増の生産となった。
盛漁期、115隻のトロール漁船がスケトウダラ操業に着業、1日あたりの漁獲量は、最大で1万トンを記録した。
当該操業完了時点において、オホーツク海主要3海域におけるスケトウダラのTAC開発率は87%で、夏場の西カムチャツカ大陸棚操業の2万トン-3万トンと、秋季“Bシーズン”9万トン-10万トンが残枠となるが、科学研究機関によると漁業状況と向けられる操業努力量を勘案した時、当該海域の年末までのTAC開発率は93%-94%に達すると見積もられている。
同“Aシーズン”、製品の生産は、一連の制裁措置による海外市場の不確実性から、フィレとミンスを前年と同水準の6万トンとし、スリミを40%増産させ3万トンまで引き上げ、冷凍スケトウダラ(H&G・W/R)も8%増、更にスケコも増産となった。
西部ベーリング海域のTACは70万トンに設定されており、これは、この15年間で最大となっている。
報告日、79隻がこの操業に着業しており、同年7月4日までの生産量は14万5,000トンで、これは前年2023年同期を28%下回っており、年末まで操業期間があることから、状況の改善が期待されている。
なお、北海道機船漁業協同組合連合会(担当者:原口聖二)は、今年2024年明け、同年の世界のスケトウダラの漁獲予想量を、ロシア195万トン、米国150万トン、日本15万トン、政府間協定その他10万トン、計370万トンとする予想グラフィックを発表している。
これは、前年2023年の実績の12%増となる。