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2024年05月24日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[米国トライデントの欧州子会社は現在もロシア産スケトウダラの調達をしている 本社代表も必要と認める]
“それはそれ・これはこれ”
米国ワシントン州シアトルに本拠を置き、アラスカの水産部門全体に巨大な拠点を持つ垂直統合型企業トライデント・シーフーズ社(Trident Seafoods以下トライデント)の欧州子会社が、現在もロシア産スケトウダラの調達を行っている。
この件について、米国本社代表ジョー・バンドラントもアラスカ州選出上院議員ダン・サリバン主催の会合において、欧州子会社“ピッケンパック・シーフーズ”(Pickenpack Seafoods 以下ピッケンパック)が、経済的に生き残るために必要だと語り、欧州においてロシア産スケトウダラが白身魚市場のリーダーだと言及した。
海外ミディアが伝えた。
欧州ドイツの冷凍水産食品加工販売“ピッケンパック・ヴェルトリーブス”(Pickenpack Vertriebs)社は、2015年に破産、2016年にトライデントに買収された。
これはその後、社名を“ピッケンパック”とし、“トライデント・シーフーズ・ヨーロッパ”(Trident Seafoods Europe)社の常務とドイツの経営陣が管理している。
一方、トライデントは、本国、米国でロシア産水産物禁輸措置への対応を不満として、所属していた水産食品加工流通業者で構成される“National Fisheries Institute”(以下NFI)を、2024年1月16日、脱退したことを発表した。
既報のとおり、アラスカのロビー活動の背景を基に、米国財務省外国資産管理局(Office of Foreign Assets Control)は2023年12月22日、第3国が加工した製品についても、ロシア原産水産物の輸入を禁止する追加制裁措置を発表した。
これを受け水産食品加工流通業者で構成されるNFIら業界団体は、当該措置を、不必要、かつ有害だと批判、現在においても経営が厳しい環境下、それを更に悪化させ、自国の水産食品加工業の雇用を危険に晒す措置だと表明、代替として輸入関税で調整することを求めた経緯がある。
トライデントは、ロシア産の水産物輸入を求めるNFIとの意見に相違にあり、脱退に至ったと説明していた。
しかしながら、トライデントの欧州子会社ピッケンパックは、ウクライナ紛争開始後、ロシア産スケトウダラからの利用停止を表明したものの、同社の広報担当者によると、現在、当該原料の調達を行っている。
先にピッケンパックの代表者は、アラスカ産天然水産物の市場拡大という長期的な目標に変わりはないが、この目標と現在の市場の需要や期待とのバランスを取らなければならないと語り、その結果、アラスカ産のプロモーションを継続すると同時に、ロシア産水産物を含む多様な水産製品ソリューション・ポートフォリオを顧客のために維持していくことなると加えていた。