2017年03月31日
カムチャツカ発
[カムチャツカ地方議会がサケマス刺し網の停止についてネフゾロフと連携]
カムチャツカ地方議会は、提案されている太平洋サケマス操業にかかる刺し網の使用停止について、関連法の改正等の働きかけを加速すること等を話し合った。
この漁業の停止には2013年4月8日付農業省命令No.170を改正する必要があることが指摘されている。
カムチャツカ地方議会の代表者らは、これらの問題の解決のため、同地方選出上院議員ネフゾロフとモスクワで会合、連携を開始している。
なお、太平洋サケマス操業にかかる流し網については、既に昨年2016年1月1日から使用が禁止されている。
(関連過去情報)
2017年03月12日 北海道新聞<ちきゅう白書>ユジノサハリンスク 則定隆史
日本への輸出も多い ロシア極東 のサケ・マス漁は昨年、水揚げ量が40万トンを超え、「数年来の豊漁」(漁業関係者)に恵まれた。だが、ロシア政府が昨年から国内200カイリ内の 流し網漁 を禁止した影響で、漁模様には変化も生まれた。流し網の禁止を推進したカムチャツカ地方と、存続を求めたサハリン州。2大地域の明暗は分かれ、流し網漁の拠点だったサハリンでは6月に始まる今年の操業にも不安が広がっている。
「地元産のベニザケもあるわよ」。カムチャツカ地方の中心都市ペトロパブロフスクカムチャツキー。2月下旬、切り身やくん製、イクラなどのサケ・マス製品がずらりと並ぶ魚市場を歩くと、女性店員が得意げに話しかけてきた。高級品のベニザケは日本向けが主流だが、近年は国内需要も高まっているという。
カムチャツカは日露戦争後にロシアから 漁業権 を獲得した日本の缶詰工場も操業するなど、歴史的にサケ・マスの生産基地として栄えてきた。半島の地形がサケの形に似ていることから「魚の半島」と呼ぶ地元住民もいる。漁獲量は極東全体の約5割を占め、沿岸での定置網漁が主流だ。
このため、カムチャツカ地方の議員や漁業者はかねてから資源保護を目的に、沖合で操業する流し網漁の禁止を訴えてきた。環境保護団体と連携したロビー活動も展開。禁止法の成立は「プーチン大統領からの贈り物」(地元メディア)と報じられ、道東を拠点にする日本漁船も含めて流し網漁はできなくなった。
ロシア漁業庁によると、カムチャツカ地方の昨年の漁獲量は23万トン。定置網漁を行う企業は100社を超え、地方議会で漁業委員会に所属するアンドレイ・カピロフ第1副議長(47)は「ある企業は昨年、ベニザケの漁獲量が3倍以上になった。魚体も大きく、流し網禁止の効果は着実に現れている」と強調する。
半島の東岸ウスチカムチャツクの漁業会社「ウスチカムチャトルイバ」では、サケ・マス漁の最盛期に加工場を含めて600~700人が働く。今年はさらなる来遊量の増加を見込み、ロマン・キリエンコ社長(39)は「従業員を増やし、新たな寮や食堂、商品保管庫を建設する計画だ。ゆくゆくは工場の拡張も考えたい」と意気込む。
一方、流し網の禁止でサハリン州は苦境に立たされている。サハリンでは定置網漁も盛んだが、カムチャツカや千島列島など200カイリ水域内の沖合で操業していたロシアの流し網漁船16隻のうち、13隻がサハリンに集中しているからだ。
沖合での流し網漁は高値で取引されるベニザケを捕獲する「最も便利な方法」(地元関係者)。昨年は「引き網」や定置網に似た「表層かご」などの代替漁法で沖取りを試みたが、サハリン漁業者協会のドミトリー・マトベーエフ会長(47)は「流し網の半分の量もとれず、漁業者は困惑している。北海道と同様、地元経済にとって大きな問題だ」と危機感を募らせる。
さらに昨年6月には「流し網に近い漁法を行った疑いがある」として、カムチャツカ沖で操業したサハリンの漁船6隻がロシア当局に拿捕(だほ)される事態が発生。漁業者側は合法性を主張し、混乱も表面化した。
流し網漁業者は2010年に20年までの漁獲割当量をすでに購入している。政府には20年までの操業許可や効果的な代替漁法の確保など救済策を期待するが、現時点で展望は開けていない。ある漁業会社の幹部は「金が無駄になれば、補償を求めて訴訟も検討する」と厳しい現状を訴えた。
2017年02月17日 カムチャツカ発
[カムチャツカ地方議会がサケマス操業にかかる刺し網の停止措置案を採択]
カムチャツカ地方議会議員グラナトフ・ロマン・ゲオリエヴィッチ(Гранатов Роман Георгиевич:統一ロシア)が、太平洋サケマスの資源保護のため、当該漁業にかかる刺し網の停止措置を提案し、同議会において首相メドヴェージェフへのアッピールが採択された。
刺し網漁業は、流し網漁業と同様に、海鳥、マリマンマル等を含め混獲の管理が適切にできないとグラントフは主張した。
2017年02月17日 カムチャツカ発
[流し網禁止のイニシアティヴをとったネフゾロフが国家賞受賞]
2016年1月1日からの太平洋サケマス流し網操業禁止のイニシアティヴをとった、カムチャツカ地方選出上院議員ネフゾロフが、議会政治の発展へ貢献したとして、国家賞を首相メドヴェージェフから受け取った。
太平洋サケマス操業の禁止により、当該資源量は回復し、今後、来遊量の大きな成長が予想されている。
ネフゾロフは、カムチャツカ地方の発展と強化に貢献を続けている。
2015年06月12日 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[禁止法案のイニシアティヴをとった上院議員はカムチャツカ定置網漁業のオーナーである]
ロシア業界関係者の情報によると、流し網漁業禁止法案のイニシアティヴをとった上院議員ボリス・ネフゾロフ(Борис Невзоров)は、カムチャツカ地方の定置網漁業会社の実質的オーナーである。
漁業会社“ウスチカムチャットルイバ”(Устькамчатрыба)の55%の株式をボリス・ネフゾロフ、10%をタチアナ・ネフゾロフ、そして5%をアンナ・ネフゾロフとアレクサンドル・ネフゾロフが所有している。
また、別の漁業会社“ヴォストーク・ルイバ”(Восток-рыба)の10%の株式をボリス・ネフゾロフ、同様に、10%をタチアナ・ネフゾロフ、5%をアンナ・ネフゾロフとアレクサンドル・ネフゾロフが所有している。
2013年の“ウスチカムチャットルイバ”の当期売上は10億ルーブル、利益が4億1,200万ルーブル、“ヴォストーク・ルイバ”は、売上1億50万ルーブルで、利益450万ルーブルとなっている。
太平洋サケマス流し網漁業漁船が多く所属し、定置網によるベニザケの商業生産がないサハリン州は流し網禁止に反対し、他方、サケマス漁業においてベニザケを対象とした定置網が主力のカムチャツカ地方は過去から流し網禁止を強硬に主張していた。
更に、カムチャツカ地方の主張の背景に、これを扇動する環境保護団体WWFの存在がある。
同団体とMSC(エコラベル)は表裏一体で、米国とカムチャツカの沿岸漁業によるベニザケのMSC(エコラベル)製品のシェアを拡大し、その位置づけを強化して、クライアントを増やすためには、市場から評価の高い、流し網漁業による沖獲りのベニザケ製品は“邪魔者”となる。
このことから、米国とカムチャツカの沿岸漁業者、そして同団体は共通の利益に向かい行動していると言える。