2021年12月31日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[2022年 ロシア漁業はどう変わるか 法令改正]
年明け2022年、ロシア漁業はどう変わるのか、これはロシア国内の法令改正ばかりが影響を与えるものではない。
①中国当局による輸入水産物の更なる規制強化
2022年1月1日から、中国の輸入水産物の新たな規則が発効し、ロシアからのスケトウダラ等冷凍水産物の輸出がより複雑なものになる可能性がある。
新規則に基づき、外包材と内包材の双方に必要な表示ラベルの貼付が必要になる。
このラベルには、漁労船、加工船、輸送船、一時保管倉庫など、輸出製品に関連するすべての企業の登録番号、所在等の記載が必要であり、これらの情報を事前に知ることは極めて難しい作業となる。
なお、ロシア当局は新規則に準じ中国当局から受け取った輸出業者・船舶等のリストを発表している。
②ロシア漁船の通関要件と漁業許可規則改正
ロシア政府の2020年12月31日付命令No.2471による漁業許可の発行、登録、停止、および取り消しに関する規則改正に伴い、2022年以降、ユーラシア経済連合(EAEU)以外での建造・購入漁船は税関申告をしない時、自国ロシア海域での漁業許可を失う可能性がある。
ただし、外国海域のみ、あるいは従前の利用海域で操業を行う場合は、適用から除外されること等が確認されている。
③水産物衛生検査規則改正
ロシア農業省は2021年11月24日付命令No.793により、加工・販売を目的とした魚類、無脊椎動物、および水産物製品の取り扱いに関する新しい規則を承認している。
新規則の発効は202年3月1日となっている。
当初規則案では、漁場の漁船や遠隔地での取引について、専門知識を提供する方法が明確になっていなかったことや、漁業分野の洋上と沿岸の特性で、漁獲物を処理する前にサンプルを送り検査を受けるという要件を満たすことは事実上不可能だと業界は指摘、現実に即した対応を求めていた。
この結果、検査は、漁獲物製品が沿岸に運搬された後、流通される以前と明確化される追加的規則案が提出された。
しかし、更に、想定される問題点が明らかになった。
洋上で缶詰製品を生産する場合の対応が明確になっておらず、現実的な措置、規則の必要性を業界は指摘している。
④養殖漁業関連規則改正
養殖漁業について多くの関連規則の改正が用意されている。
これには生産量の報告手続き、付加価値税の調整、各衛生基準等が盛り込まれている。