昨日の記事の内容がそれに基づいている段落にはまだ続きがある。そこで〈類-種〉関係が現実の現象から析出されてくる過程の例証として、同時晶出(syncristallisation)という化学現象が挙げられている。同時晶出とは、「異質の物質、元素が同時に結晶化し、固溶体を作ったり、二種以上の結晶合体になること」(『小学館ロベール仏和大辞典』)である。
同時晶出の基準は、どのようなシステムの中で化学種が結晶化するかを示すことによって、複数の異なった化学種をそれとして認識することを可能にする。この基準が示しているのは、ある一つの同じ個体発生のダイナミズムに基づいた現実的類比関係のタイプである。
シモンドンは同時晶出という化学現象に何を見ようとしているのだろうか。正直なところ、まだよくわからない。だから、まったく覚束ない仕方にすぎないが、およそ次のようなことだろうかと今は思量している。
複数の異なった化学種からなる結晶が形成されていく過程で連鎖反応が起こり、それが他の結晶化を引き起こすことがあり、それによって種的に異質な層において形成過程が引き継がれていく。この晶出過程全体の連続性によって生成された統一性は、互いに異質な種を包摂しており、そのいずれの種にも還元できない「一つの深い現実」(« une réalité profonde »)を示している。この「一つの深い現実」は、それを形成している諸種にとって、単なる偶有性ではなく、その本性に属する。
同時晶出によってもたらされた全体である「一つの深い現実」とそこに包摂されている複数の異なった化学種とは、どのような関係にあるのか。それは〈類-種〉関係ではない。なぜなら、この場合、全体からそれが包摂している異種へと再下降することはできないからである。同時晶出における全体とそこに包摂される要素との関係は、したがって、〈類-種〉関係に還元されうるものではない。まったく逆に、この同時晶出という化学現象から、〈類-種〉関係が帰納的に概念として抽出されうると考えるべきである。