うららかな春の陽気が続き、日当たりの良いところの雪がどんどん融けていく。
強い日差しで屋根の雪や、木々の霜が湯気のように立ち上り、軒にせり出した雪が、水滴となって勢いよく落下している。うっかり首筋などに落ちてくると、飛び上がるほど冷たい。
雪が薄くなった陽だまりには、雪解けを待ちきれない「ふきのとう」が頭をもたげていた。
まだ雪も降るし、霜も降りるので、もう少し大地に眠っていればいいのにと思うけど、強い日差しで起こされてしまったようだ。
春の遅い山里にも、装いを凝らした春の使者たちが次々にやって来る。