雪が、島や半島のような形を残して、解けていく姿は、立体地図を見ているようだ。
その地図は、毎日形を変えて、地面がどんどん広がっていく。
雪をかき分けて、真っ先に出てくるのがふきのとうで、次は水仙の芽が顔を出す。
もうしばらくすると、白や黄色の可憐な花が、目を楽しませてくれる。
伏流水がしみ出ている湿地からは、山わさびも萌え始めた。
霜で赤茶けた葉も、春の陽光を浴びて鮮やかな緑になり、やがて白い小さな花も付ける。
タラの芽の硬い冬芽と鋭い棘は、まだ冬の厳しい姿を残していた。
葉が開き始めると、山菜採りの人たちが目の色を変えて探しに来る。
植物たちの春の競演が、今年も始まった。
いつもの事ながら、小さな命の営みには感動させられる。