飛騨地方は高気圧に覆われて、春の陽気が続いている。
昨日も快晴で、上高地のピンポイント予報を見ると、早朝から夜まですべてお日様マークになっていた。
絶好のチャンスなので暗いうちに起きて、装備をそろえて上高地へ向かった。
家から上高地入り口の釜トンネルまで40キロ程で、1時間もあれば行ける。
午前6時にトンネル入り口をスタートしたが、以前は天井灯があったが省エネのためか非常電話や距離標識などの僅かな明かりしかないので、ヘッドランプが欠かせない。
1.2キロの上り坂は、歩いてみると勾配のきついことに気が付く。
トンネルを抜けると、大正池手前までの県道は、砂防工事用に除雪がしてあった。
しばらく進むと、山頂付近を朝日に照らされた焼岳が、噴煙を上げて出迎えてくれた。
凍結したツルツル道は1キロほどで、その先は雪道だが滑る心配が無いので歩きやすい。
大正池ホテルで県道と別れ、湖畔から田代湿原へ向かうルートを取った。
大正池越しに見る穂高連峰は、いつ来ても感動するシーンであるが、年々狭くなっていく池と立ち枯れの木がなくなったのは寂しい限りだ。
焼岳も、ここから見る姿が一番美しい。
林間に見え隠れする穂高を前方に、静かな樹林帯を進んでいく。
7時30分に予定通り湿原に着いた。
左から、西穂、奥穂、吊り尾根、前穂、明神岳が湿原を前にして、青い空を背に屏風のように連なっている。
田代池では霧氷を狙うカメラマンがいたが、気温が高くシャッターチャンスを逃したと残念がっていた。
全コースを通して、人と出会ったのはここだけだった。
田代池を後に田代橋に出て、梓川の左岸を河童橋までさかのぼった。
コースの要所には標識やベンチなどが設置されているが、ほとんど雪に埋まっていて、吹きさらしや日当たりの良い場所だけは頭を出している。
しばらく進むと、前方に河童橋が見えてきた。
9時ジャストに着いた河童橋に人影は無く、絶景を独り占めした。
オフシーズンに度々来ているが、人のいない河童橋は初めての経験だ。
小休止のあと橋を渡り、コースを右岸にとって明神に向かった。(続く)