沖縄の青年
稲垣足穂の題名
『生活に夢を持っていない人々のための童話』
その装丁まで
今でもおぼえている
気が晴れない
晴れなのに
人の言葉が聞こえる場所
水が流れる音がする
元気がない時は
花に寄る
花は凄いエネルギーを出して
咲いているから
その脇にいるだけで
気がもらえるという
昼の公園で
水辺があり
木があり
座る石や
ベンチがたくさんある公園
赤いチューリップが
たくさん植えてある
すみれも
その脇に座り
静かにしている
『星めぐりの歌』
鳴る
あの時と同じ
あの路地を
黙って
戻っていった
あの時と同じ