kotoba日記                     小久保圭介

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宮嶋哉行

2008年06月27日 | 音楽



写真はカリンバを鳴らす宮嶋哉行さんです。
カキンコキンっていう音がする楽器で、
もとはアフリカの楽器だったと思いますけど、
僕の兄は、ヘアピンでそれらしいのを作っていました。

今日は、京都に行ってきました。
鴨川を北上しようと思ったのですけど、
時間がなくて、市役所前まで地下鉄に乗り、
少しだけでも鴨川を見たくて、
川原を歩いていると、
サミットですごくたくさんの警察の人がいました。
夕方、ライブハウス「アバンギルド」を探していると、
なかなかわかりません。この通り、この辺りには違いないと、
何度か往復していると、
後ろで妙な口笛を鳴らす人がいます。
明らかに僕をからかって、指をパチパチ鳴らしたり、
うわー、カツアゲかよ馬鹿野郎、
ってここらへん、歓楽街なので、あり得ます。
恐くて、振り返れません。
おい、たのむわ、と思っている瞬間、
僕の右横を通り過ぎ、ふり返りざま、
「うほほ」
と言いながら、
「こっち」
とカツアゲの人は言いました。
カツアゲ風の人は、
今日、僕がライブを見にきた宮嶋哉行さんでした。
「こっち」と言われて、
ライブハウス「アバンギルド」へ。

宮嶋さんとは3,4年会っていないと思うけれど、
長い友達なので、まあ3,4年が何年だろうが、昨日だろうが、
どうでもいいことで、
僕にとっては、彼が今、どういう音楽をやっているかが、
一番の関心事でした。

少しだけリハーサルも見学させていただき、
共演の長谷川健一(ハセケンさん)のリハーサルも、
見せてもらいました。
出演者の宮嶋さんや、長谷川さんは、
自然に、落ち着いて、時には冗談も言いながら、
のリハーサルでしたけれど、
音響の人(舞台の後ろでそれぞれの音のバランスをとる人)が、
ステージとミキシングブースを何度も往復して、
テキパキと良い仕事をされているのがとても印象的でした。
マイク換えます、と言って、
小さなマイクを換えていました。
たぶん、音的にはそんなには変わらないと、
素人の思い込みで、想像するのですけど、
僕には「とても細部にこだわっている」、
と思えて、
あー、ここは良い店だ、と思いました。

最初は、宮嶋哉行さん。
カリンバを奏でたり、
何曲かやったんです。
でも、
僕には最後の20分前後の曲しか、
よく覚えていません。
彼はバイオリン弾きです。
僕にはよく判らないけれど、
専門の人の話では、
相当の技術があるようです。
その20分の曲は、
一人でずっとバイオリンを弾いていました。
びっくりしたのは、
途中で、歌を歌いだしたこと。
僕は今までバイオリニストが、
歌いながら演奏するのを見たことがありませんでした。
歌といっても、歌詞はなく、
空や草原に叫んでいる風です。
まるでネイティブアメリカンだ、
と思いました。
ジミヘンがギターを弾きながら、
歌う感じに良く似ています。
宮嶋さんは、
二十分の間、
二、三度しか薄目をあけませんでした。
汲フ糸は数本切れていましたけど、
そんなことはおかまいなしです。
ずっと、彼は目を閉じて、演奏していました。
彼の体は最初から小刻みに振動していましたし、
楽器と体がいっしょくたになっていました。
そういう演奏家はなかなかいなくて、
たとえば坂本龍一や山下洋輔がピアノを弾いても、
どこか楽器にクールな感じがするのです。
あえていえば、
調子の良い時のいとうたかおさんのトランス感、
調子の良い時の坂田明さんのめちゃくちゃ感、
岡本太郎が絵を書いている時、
アラーキーが写真を撮っている時、
そんな感じに、
宮嶋さんの演奏は重なりました。

友達だから、
というわけじゃないけれど、
やはりどうしても、
友達だから、という部分はあります。
でもね、それをさし引いても、
僕は今まで彼の演奏を聴いてきて、
今回ほど、凄かったのは初めてでした。

「ノーディレクションホーム」という、
ボブディランのドキュメンタリー映画の中で、
アレンギンズバーグが、
ある時期のディランのステージを見て、
歌い出したディランを見て、
「ディランはいつのまにか、シャーマンの技術を得た。見ていて、
まるで一本の火柱が垂直に上に昇っているようだった」
と言っています。
僕はギンズバーグじゃないですけど、
宮嶋さんのステージは、
まさしく、火柱があがっているようで、
シャーマンのそれにひどく似ています。
47年、僕らは生きてきて、
彼はこんなにも凄いエネルギーを出せる演奏家になった、
そのことに、僕は、席でニンマリして、
「宮嶋、やるな」と思っていました。

音楽家、宮嶋哉行。
こういう高いテンションの、
生き方をしている友達をもって、
僕は幸福です。


二部は、
長谷川健一さんです。
初めて聴きます。
ゆるい系、といっては語弊があるかもしれませんけれど、
目を閉じて声を聞いていると、
青空のイメージがしました。
最後の方で、
カツアゲ風の宮嶋哉行氏がバイオリンで伴奏をし出すと、
ハセケンさんの演奏がどう猛になりました。

青い空の中に、許薰ェパーンと放たれるイメージが、
長谷川さんの最初の演奏からあって、
それはなんだろう、と思っていましたけれど、
宮嶋さんが加わったことで、
それは、どう猛である、
ということがはっきりしました。
穏やかさのなかにある、どう猛さ。
長谷川健一さんはそんな感じでした。

帰りの電車の時間が迫ってきていたので、
アンコールの最後までは聴けずに、
店を後にしました。






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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (MrT)
2008-07-01 21:00:05
こんばんは!この宮嶋くんって、ひょっとして、アノ宮嶋くんですかあ??
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Unknown (小久保圭介)
2008-07-01 23:15:51
そうでーす。
くわしくは、
リンク先に、
氏のブログが、
ありやす。
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Unknown (MrT)
2008-07-01 23:19:56
いやー、懐かしい‥。清風荘を思い出しました!
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Unknown (小久保圭介)
2008-07-02 14:42:24
清風荘。もう全部、っていうか、みんないたよね、あそこに。河森はユーレイも見たぞ! って言ってたし。
河森、どうしてんのかな。パワーあるから、いろいろあってもどうにかニンマリしているような気がするんだ。
このブログ、見てるとうれしいな、でも無理だね。
みんな元気だよ、って教えてあげたい。
寂しがってるような気もするんだ。。
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Unknown (すぎげん)
2008-07-03 00:10:19
河森くんのことは、深夜テレビで黒土三男監督の映画『渋滞』(1991年)が再放送される度に、スクリーンの中に彼をみつけては、いま頃どこでどうしてるかなあと思い出しています。某大女優の事務所を辞めたあたりまではなんとなく知っているのですが、それさえかなり前のことです。会いたいねえ。
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Unknown (小久保圭介)
2008-07-03 08:46:43
その映画、
レンタルで出てるだろうから、
見てみる。
きっと元気だよ。あいつは。
「タフガイ河森」っていつも豪語してたし(笑

スギ、ブログ再開おめでとう!
見てるよー。
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